1995 Fiscal Year Annual Research Report
東京女子高等師範学校附属小学校における社会認識教育の研究
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06680262
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河南 一 熊本大学, 教育学部, 助教授 (00177734)
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Keywords | 社会科教育史 / 昭和戦後期 / 東京女高師附小 / 「社会科」実践 |
Research Abstract |
本研究で明らかにしたことは、『児童教育』誌(本誌は、東京女子高等師範学校附属小学校の在職訓導を中心に結成された児童教育研究会の機関誌として、1918年から1950年まで定期発行されている)の全巻全号の所在を初めて確認するとともに、その分析を通して、1929年に新設された「社会科」実践を解明した。なお、後者について明らかにした内容は、次の通りである。 1.「社会科」の設置過程について 1)1926年4月に「社会科研究部」が発足していること 2)「社会科」設置以前に、読本教科書に掲載された教材が「社会科的教材」として検討されていること、及び第一部4学年で行われた実践(すなわち木代修一[1927年]・金成みき江[1928年]が行った授業)は、「社会科研究部」の活動内容として推定されること 3)「社会科」設置の背景には、1921年からアメリカの地理教育論とシビックスを検討し、Social Studiesに着目していた芳澤喜久の関与が推測されること 2.「社会科」の展開過程について 1)授業を受けた児童のヒアリングを通して、雑誌に発表されていない教材が収集できたこと 2)「社会科」教材の分析を通して、『児童教育』誌に発表された実践は、それ以前に報告されていない教材の実践が中心となっていること 3.「社会科」の縮小過程について 1)「社会科」設置に携わった北澤種一の死後、1932年度内に縮小が決定されたと推定できること 2)「社会科」の縮小とその実践が埋もれてきた背景には、女高師で発生した人事抗争が原因であり、女高師校長吉岡郷甫に「小学校の粛正」を依頼された附小主事堀七蔵が関与していること
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Research Products
(2 results)