1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680268
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
村上 呂里 琉球大学, 教育学部, 助教授 (40219910)
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Keywords | 「国語学力」 / ウチナ-ロ / ヤマトロ / 声の文化 / 「学校国語教育」 |
Research Abstract |
今年度は、沖縄における言語教育の個人史の聞き書き調査を国頭郡辺土名や伊江島、宮古島狩俣、伊良部島、さらに大阪市大正区(沖縄出身者が多い)で実施した。そこで得た聞き書き資料をもとに、沖縄における「国語学力」をめぐる基本問題について、以下の考察を行った。 (1)沖縄における「国語学力」を考察するに当たっては、知識人 層に見られる「国語」「標準語」(「普通語」「共通語」)への意識と関わった「琉球語」(民族語)と「琉球方言」という用語の使用をめぐる緊迫関係、さらに民衆層における「ヤマトロ」と「ウチナ-ロ」との関係を踏まえる必要がある。 (2)「琉球語」内部に、首里言葉(スリクトウバ)を規範とする意識や士族と平民の言葉の差異など、言語への規範意識が存在する。この「琉球語」世界内部の言語への規範意識が「国語」や「標準語」への規範意識に連動していったのではないか、との仮説が立てられる。 (3)「学校国語教育」=「標準語」・共通語教育であった沖縄においては、「学校国語教育」と母語による民衆の声の文化(島唄をはじめとした)の拮抗関係が見られる。 (4)1950年代後半より、県の「学力向上施策」と関わり、母語である「ウチナ-ロ」の使用のために「学力」が低下するという論があった。が、沖縄の言語文化が受けた差別・抑圧に抗うエネルギーは母語に根ざすことに拠って生まれている。言語に関わる学力と母語との関連について、さらに掘り下げる必要がある。
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Research Products
(2 results)