1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習者の語彙力向上のための連語指導の開発とその方法
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06680282
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Research Institution | Keisen Jogakuen College |
Principal Investigator |
秋元 美晴 恵泉女学園大学, 人文学部, 助教授 (20212441)
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Keywords | 連語 / 語彙 / 日本語教育 / 共起性 |
Research Abstract |
従来の連語研究は、一定の項を先見的に要求支配する述語と格の枠組みの体制に比重が多くかかっていた。しかし、言語は認知意味論的なレベルと必ずしも合致するものでもない。特に連語はその性質上、形式的つながりが強く、日本語学習者の記憶におうところが大きい領域である。例えば、次の問題を考えてみたい。(問題)「なおす」が「なおる」になるものを選びなさい。 (1)病気- (2)機嫌を- (3)パンクを- (4)ドルを円に- 通常であれば、自然現象としての(1)(2)は、「なおる」ものだという認知性が働き、(3)(4)は人為的な作用による現象だという認知性が働く。そのために、(1)(2)と(3)(4)との間に、認知的な区分が生じていると見るのが自然であろう。しかし、言語的な区分では、直さなければならない(3)「パンクを直す」までが、「直る」に置換され、「ドルを円に直す」は、「直る」に置換されえない。つまり、認知的に自然であろう区分と言語的な区分とは、往々にして、一致するものではない。極言すれば、述語の一つ一つが、それぞれ固有の振る舞いを見せると言っても過言ではない。この視点に立ったとき、ことばとことばのつながりを組織的に眺めていく必要があった。 本研究では、「名詞+動詞」型連語を『15万例文成句現代国語用例辞典』と『基本動詞用例辞典』から基本動詞を中心に集め、本義として用いられる場合を連語として用いられる場合のずれを格体制の面から明らかにするために第一次資料を作成した。次に、第一次資料を基に、コンピュータを駆使して、連語を≪処世≫≪移動≫などの意味別、分野別に分類し、連語のシソ-ラスの作成を試みた。その意味では、第二次資料は簡易版連語類語辞典でもあり、自学自習用教材支援ソフトの作成も不可欠であると考えて、これを添付することにした。
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[Publications] 秋元 美晴: "ペアで覚えるいろいろなことば-初・中級学習者のための連語の整理" 武蔵野書院, 247 (1996)
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[Publications] 林巨樹: "林巨樹先生古稀記念甲戌論集" 武蔵野書院, 232 (1996)