1995 Fiscal Year Annual Research Report
大規模小売店舗火災における避難行動と防災システムに関する研究
Project/Area Number |
06680403
|
Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
岸田 孝弥 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (00106262)
|
Keywords | 大規模小売店舗 / 火災 / 防災システム / 避難行動 / 消火器等、防災設備 / デパート・スーパーマーケット / パートタイマー / 「人的事故原因の調査・分析マニュアル」 |
Research Abstract |
本年度においては、前年に引き続き、過去の大規模小売店舗火災事故の分析例を増やすとともに(大阪・千日デパートビル火災事故:昭和47年5月発生)、これまでに分析した事故例からの人的事故要因の抽出につとめた。 分析の結果、(1)従業員の特性(身分・経験等)による防災意識,行動の差違、(2)防災設備の煩雑性と使用に際しての意識の欠如、(3)火災緊急時の群集心理による誤解の頻繁さ(煙への消火活動等)や自主的判断による行動の再評価の必要性、(4)臨場感の欠如した防災訓練の馴致や防災ゼネラリスト教育・中央集中制御型防災システムの弊害などが浮かび上がってきた。 それらの結果を踏まえ、本年度は新たに大都市圏における複合ビルで営業される大規模小売店舗での従業員の防災意識についても調査を行った(横浜消防局管内、8店舗)。前年度に同主旨のもとに行った調査(高崎市内6店舗,熊本市内(火災被災経験地域として)8店舗)の結果と比較し、従業員の諸属性毎の防災意識,或いは各調査地域ごとの意識の差異について検証した。 従業員属性毎の比較においては全体的にほぼ同じ傾向が見られていたが(「研究成果の概要」参照)、地域差比較として、地方中核都市(高崎市),地方都市・火災被災経験地域(熊本市),大都市圏内核都市(横浜市)の間には若干の意識の差異が伺えた。火災時の防災活動の段階としては(1)火災覚知の早期伝達,(2)初期消火活動,(3)避難誘導活動の3段階があるが、被災経験地域においては(1),(2)の覚知と避難に重点をおいた防衛的姿勢が強く示されていたのに比べ、経験の無い地域では(3)の積極的消火活動に向けた意識が伺えた。災害はいつ・どこで起きるか分からないものである。防災教育とそれによって培われる防災意識に地域差が見られる現状には全国的な視野での改善が求められる。
|