1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680421
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
天田 高白 筑波大学, 農林工学系, 教授 (80114031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸賀 黎 信州大学, 農学部, 教授 (40114037)
伊藤 太一 筑波大学, 農林工学系, 講師 (40175203)
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Keywords | 治水機能 / 河畔林 / 不等流計算 / 洪水流 / 死水域 |
Research Abstract |
本研究では小貝川を対象河川として,治水面から河畔林のもつ機能を評価し,河川環境保全と治水との調和をはかる基礎資料とすることを目的として1)河川敷の土地利用の変遷,2)河畔林の河床変動に及ぼす影響3)河畔林の洪水流に及ぼす影響に着目し調査検討を行った。河畔林の形成は洪水時の堆砂のプロセスや出水頻度と密接な関係がある。現河道は過去からの実証的結論であり流路幅(掃流力)と側岸の侵食抵抗力が平衡状態にあると考えられる。対象区域における昭和44年から20年間の河川敷の森林,農地,草地等土地利用の変遷と河川敷幅の変化や河床変動の経年変化を調査,考察することにより,河畔林が平水路固定の機能を持つことを推測することができた。また河道内の河畔林は大きい粗度と見なされ,治水上,正・負の相反する効果をもつと考えられているが,治水上正の効用を積極的に評価し河川管理に反映していく上からも,河畔林のもつ機能を定量的に評価する必要がある。ここでは福岡・藤田による水位予測手法を用いて対象地域における不当流計算を行い,各調査地点の河畔林について洪水流の挙動を調べた。計算結果流下が妨げられ水位が上昇し危険と判定された区間の河畔林の特徴としては,比較的狭い高水敷上に低水路に沿った形で細長く高木が密生しており,こうした河川区間では,高水時には高水敷上の流積の増分は死水域として失われ,さらに洪水と洪水に挟まれる河畔林の間で高いせん断抵抗が生じ流速が大きく減少する。このような河畔林は同時に河床変動の幅も大きく治水上好ましくない河畔林の典型的な一例である。河畔林に対する治水上の評価は,高水敷上での位置,規模,密度,成育状況,周囲の河道地形などにより大きく変わるので個々の河畔林に対し適切な判断が重要である。
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