1994 Fiscal Year Annual Research Report
雲仙・普賢岳火山活動に対する関係住民の意識と組織の危機管理に関する調査研究
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06680432
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 勝也 九州大学, 文学部, 教授 (10036999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 多聞 九州大学, 文学部, 助手 (80263995)
行場 次朗 九州大学, 文学部, 助教授 (50142899)
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Keywords | 避難 / 危機管理 / 災害時の行政の対応 / 長期避難 / 危機意識 / 災害時の住民の対応 / 危険地域での遠隔操縦による工事 |
Research Abstract |
1.警戒区域,避難勧告区域の設定に関しては,住民の多くが専門家の助言に従うべきと回答しており,当該地域が居住には危険であるとの認識が高い.2.火山活動が長期化するに従い,警戒区域へ無断立ち入りする者が半数ほど認められ,危機管理上問題が認められた。3.避難生活が長期化するに従って,住民の危機意識は薄れる傾向にある.一方行政担当者の意識は住民とはやや異なったものであり,情報を持つ者とそうでない者の間に危険に対する意識の差が認められた.4.これから災害が発生するであろうと予測される地域においては,災害経験を持つ住民の危機意識は高く,そうでない者の危機意識は低い.5.火砕流と土石流についての島原市の避難住民の危機意識は依然として高いが,しかし,その意識の低下傾向は明瞭に認められる.ただし,行政担当者の認識はより学者と近い.6.復興に関わる問題についての,住民と関係組織との意思の疎通については低下傾向にある.このことが住民の行政に対する不満や不信感に拍車をかけていると思われる.7.住民に対する啓蒙は行政側からの印刷物によるものがほとんどであるが,住民にその内容が必ずしも伝達されているとはいいがたい.8.行政側において,今後予想されるすべての災害についての対応が検討されているとはいいがたい.可能性があれば,一応は検討し,それへの対応マニュアルを作成しておくべきであろう.9.災害が長期化する場合,繰り返しの啓蒙が重要と思われる.10.危険地域で工事を行う必要がある場合は,遠隔操縦などの工法を採用すれば,警戒区域の設定を解除することなく適当な工事を行うことができる.遠隔操縦を行う場合の映像の与え方としては,立体視用映像と奥行き方向を側面から撮影した映像を与えた場合が,最も作業時間が短くなることが明らかとなった.
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