1994 Fiscal Year Annual Research Report
低レベル放射性廃液中のテクネチウム除去に関する基礎研究
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06680460
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 勝雄 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (70006047)
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Keywords | 低レベル放射性廃液 / テクネチウム / 薄膜式蒸発缶 / 減圧蒸留 / 蒸留液 / 濃縮液 |
Research Abstract |
本研究では、テクネチウム含有廃液を、蒸発缶壁に薄膜にして保持し蒸発面積を増大させて水を蒸発させるとともに減圧下の加熱処理により揮発性成分の揮発を抑制し濃縮する機能を併せて有する薄膜式減圧加熱蒸発装置で処理し、その濃縮液をスラッジ固化体とするためのプロセスを構築することが目的である。本年度は、薄膜式減圧加熱蒸発装置を運転するための基礎的実験条件を水を用いて調べた。 液体の減圧加熱蒸発に影響する物理的要因としては、真空度、加熱温度、時間、液体量および液体の蒸発面積などがあり、化学的要因としては溶液の組織および濃度などが考えられる。そのほか薄膜式蒸発缶の運転条件として、供給された溶液を薄膜とするための翼の回転速度をおよび蒸発缶への溶液の供給速度などがある。処理中の蒸発液量及び濃縮液量を測定することにより、一定の真空条件下(20mmHg)における翼回転速度、加熱温度および水の供給速度などが蒸発速度に及ぼす影響を調べた。30℃では蒸発液量と濃縮液量とがほぼ等しくて蒸発速度も非常に遅い。70℃では蒸発速度が非常に速いが時々運転中に真空度の変化が起こり再現性も悪かった。50℃では濃縮液量が供給液量の1%以下であり蒸発速度の再現性も良かった。溶液の供給法としては、蒸発缶上部に設置した液面調節センサーを利用する方法またはセンサーと無関係にタイマーで運転する方法とがある。前者のセンサーを用いた場合には、薄膜生成の翼回転数が900以上で蒸発缶上部に突沸現象が観察され、またタイマーによる調節法では、1200回転時に突沸現象が観察された。突沸現象は飛沫同伴による揮発成分の汚染が予想されるのでその現象を避ける条件を選定した。以上の結果から50℃において翼回転数が600で液面調節センサーを使用した場合に蒸留速度は12ml/min程となり、この蒸留条件が最適と考えられた。薄膜式蒸発装置は現有しているグローブボックス内に設置した。テクネチウム-95mは東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンターの学内共同利用で製造した。 来年度は、最適条件下においてテクネチウムの蒸発挙動を調べ、テクネチウムの揮発を抑制する最適条件を明かにする。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Ito and Y.AKAI-IMOTO: "Technetium(VII)extraction by a primary amine and technetium (VII) coprecipitation with ammonium diuranate in hydroftooric acid solution" J.Radioanal.Nucl.Chem.,Articles. 178. 41-53 (1994)
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[Publications] K.ITO: "Enhanced recovery of technetium(VII) by primary amine extroction from aqueous fluoride solutions and aqveous alkaine solutions" Scientific Basis for Nuclear Waste Management. (1995)