Research Abstract |
1.耐久性アミノ酸樹脂の合成と樹脂物性 アミノメチル化ポリスチレン樹脂を基体に,各種アミノ酸及び擬アミノ酸を活性エステル化法により導入した樹脂を15種合成した.アミノ酸導入量は2〜3.7mmol/g-樹脂であり,イオン交換容量,比重,含水率,IRなどの測定により,開発樹脂の物性を評価した.また.樹脂の酸洗浄,アルカリ浸漬,再使用性を検討し,耐久性の機能性樹脂であることを明らかにした. 2.ウラン吸着容量と選択吸着機能 開発樹脂は炭酸ウラニル種に大きな吸着活性を示したが,ウラン平衡吸着量はGly,Arg樹脂で950mgU/g-樹脂以上となり,樹脂の高性能化を達成した.ウラン吸着速度は極めて速く,吸着等温式の解析によりジ炭酸種がLangmuir型吸着すると解釈された.プロトン付加したアミノ酸残基アミノ基が吸着の駆動力となると考えられるが,アミノ基に立体障害を有する擬アミノ酸の導入により,その機能を確認した.更に,炭酸濃度,海水マトリックス,移動相を用いたウランの漏出,溶離挙動を検討し,ウラン選択吸着樹脂であることを立証した.今後,繊維状吸着剤への発展が望まれる. 3.ウラン同位体の分離濃縮挙動 バッチ法により,樹脂接触による天然ウランの同位体分離濃縮挙動を追跡した.α線測定により各樹脂の^<234>U/^<238>Uの分離係数を集積したが,高温条件(90℃)の炭酸種に明確に同位体濃縮効果が発現することを見出した.また,アミド結合型より,エステル結合型樹脂の方が分離効果が大きく,樹脂内アミノ酸の酸化還元作用が濃縮加速因子となることが示唆された.ここで得た分離係数は,溶液内平衡による係数の300倍以上を示す樹脂もあった.^<235>U/^<238>Uの分離係数はICP-MS法により測定したが,測定誤差が大きく,全体として有意な評価は行えなかった.しかし,溶液内平衡の20倍以上を示す樹脂も見出したので,今後,効率の良い多段接触分離システムへの応用が待たれる.
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