1994 Fiscal Year Annual Research Report
水の不飽和浸透式と農薬の移動拡散式との連結による農薬の2次元濃度分布予測
Project/Area Number |
06680485
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀井 翼 北海道大学, 工学部, 助教授 (70001998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 晶 岐阜大学, 流域環境研究センター, 教授 (10109499)
藤田 睦博 北海道大学, 工学部, 教授 (80001139)
松井 佳彦 北海道大学, 工学部, 助手 (00173790)
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Keywords | 農薬 / 土壌 / 流出解析 / 吸着 / 不飽和浸透式 |
Research Abstract |
農薬が上水道の水源域に散布・放出された場合(1)どのようなタイプの農薬が(2)どのような降雨強度等で(3)どのような特性を持つ流域環境からどの程度上水道上源に流入するのかを定量的に明らかにすることは、上水道における適切な水質管理を行うために必要である。本研究では土壌中の農薬移動に関与する因子として、農薬と土壌の吸着及び土壌中における農薬の分散を挙げ、1)農薬の土壌吸着性を示すヘンリー係数と農薬・土壌の性質の定量化、2)土中移動における農薬の分散の定量化を行い、3)不飽和浸透式と農薬移動式を連結し、土壌中における農薬の2次元移動解析を行って降雨による水分及び農薬の流出を検討した。実験に用いた農薬として、水溶解度が大きく異なるシマジン、ダイアジノ、アシュラム、ヒドロキシイソキザ-ルを選定した。実験に用いた土壌は、火山灰土壌、石英砂といったタイプの違う7種類である。これらの農薬と土壌を用いて吸着実験を回分式で行った。その結果、吸着等温線は全ての土壌についてヘンリー型で近似できた。ついで、ここで得られたヘンリー係数を土壌を構成する有機成分と無機成分を説明変数とする回帰式によって表現した。 土壌を充填したカラムに蒸留水を通水し、カラム内を飽和上体にした後、農薬溶液を通水し、流出水中の農薬濃度の変化を測定し、一次元の移流分散式により分散係数を算出した。その結果、分散係数は流速によって異なり、平均流速のべき関数として表した。 ここまでで、農薬の移動の支配因子である土壌への吸着、分散移動を定量的に表現した。次の段階として、水の不飽和浸透式と農薬の移動式を連結した解法による農薬の流出解析を試みた。土中における農薬の移動は、農薬を運ぶ媒体である水分の移動を記述する式と農薬移動の基礎式を順次解くことにより解析される。丘陵耕地を想定し、降雨による雨水流出と農薬流出の変数を様々に組み合わせてシミュレーションを行ない、農薬の流出特性を検討した。
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