1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヘモグロビン遺伝子の診断によるユスリカの同定とその水質評価への応用
Project/Area Number |
06680487
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 幸一郎 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (30195028)
|
Keywords | ユスリカ幼虫 / Polypedilum属 / 富栄養化 / 生物指標 / 累代飼育 |
Research Abstract |
1994年1月〜8月の間に広島県内の瀬戸内海流入大小10河川の計約70地点にコンクリートブロック、山陰地方湖沼群(神西湖・宍道湖・中海・東郷湖・湖山池・多鯰ヶ池)及び富士五湖・田貫湖・芦の湖の計約60地点にコンクリート板を設置し、1-3ヵ月後にこれに付着するユスリカ幼虫を採集し、実験室内で飼育して得られた雄成虫の同定結果に基き各群集中のPolypedilum属の種組成を調べるとともに、採集地点で採取した検水のPO^<3->_4イオン濃度及び電気伝導度を調べた。その結果、Polypedilum tamaharaki→P.asakawaense→P.nubiferに至る富栄養化の程度に対応したPolypedilum属12種における優占種スペクトラムを作成することができた。 一方、夜間自動販売機等の灯火に集まる10種のPolypedilum属雄成虫を得、これにより得られた受精卵塊より孵化した幼虫を飼育して得た成虫をもとにして累代飼育を試みた結果、P.cultellatum,P.kyotoense,P.nubeculosum,P.nubiferの4種について実験室内での受精卵の採取に成功し、累代が可能になった。しかし、P.nubifer以外の種では、何れも孵化直後の幼虫の生残率が低いため、Hbの分析に十分な量の幼虫材料を得るには至っていない。このため、現在、初期餌料・底質・エア-レーション等の飼育条件の改善に努めている。また、Polypedilum属を構成する4群のうちのTripodula群については、まだ一種も累代飼育法が確率していない。現在、これまでに採卵実験を試みたP.japonicum,P.tamahinoense,P.unifascium以外の種についても試みるとともに、採卵装置の照明条件を種々変化させて実験を行い、交尾のために必要な条件を検討している。
|