1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680494
|
Research Institution | 神戸商船大学 |
Principal Investigator |
三宅 寛 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031443)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 智也 神戸商船大学, 商船学部, 助手 (40211619)
小田 啓二 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (40169305)
|
Keywords | エアロゾル / 長距離輸送 / X線分析 / PIXE / 硫黄酸化物 / 大気輸送時間 / ラドン / 大気流跡線解析 |
Research Abstract |
大陸から海洋への大気圏を通しての物質輸送の動態を調べることは、地球規模での機構変動の要因となる硫酸エアロゾルの地球規模での動態や、海水中で難溶性の化合物となる微量元素の濃度分布の成因などを明らかにするために、地球環境科学の極めて重要な課題である。本研究は、海洋上においてエアロゾル試料採取を行い、高感度の多元素同時分析法である粒子線励起X線分析法(PIXE)を活用して洋上エアロゾルに含まれる元素濃度の粒径分布を求め、半減期3.82日のラドンを陸起源大気のトレーサーとして、陸起源エアゾルの長距離輸送の動態を明らかにすることを目的とするものである。 本年度は、洋上のエアロゾルに含まれている諸元素濃度の時間的変化を詳細に調べるため、粒径別エアロゾル試料連続補集用のドラム式カスケードインパクターを、諸元素濃度とラドン娘核種濃度の粒径分布を同時に調べられるように改良し、運輸省航海訓練所練習船日本丸に搭載して試料採取を行った。採取した粒径別エアロゾル試料のPIXE分析を行うにあたり、本補助金により、ステップモーター駆動で試料を移動して、軽元素用と重元素用の2個のSi(Li)検出器による測定を同時にできる2検出器用照射装置を設計製作した。また、資料採取期間の気象データをもとにして大気流跡線解析を行うため、パソコン用のプログラムを作成し、昨年度までの実験データを比較検討した。その結果、太平洋中央部においてそれより西方の観測点より高いラドン濃度が得られたときについても、偏西風の流路の関係で輸送時間が短かったことによることを定量的に明らかにすることができた。ドラム式カスケードインパクターによりエアロゾルとともに補集されたラドン娘核種の測定については、1994年10月に開催された弟12回PIXEシンポジウムで、ラドンによる大気輸送時間推定法の検討については、1995年2月に開かれたラドン研究会で報告した。
|