1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680494
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Research Institution | 神戸商船大学 |
Principal Investigator |
三宅 寛 神戸商船大学, 商船学部, 教授 (00031443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 知也 神戸商船大学, 商船学部, 助手 (62211619)
小田 啓二 神戸商船大学, 商船学部, 助教授 (40169305)
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Keywords | エアロゾル / 長距離輸送 / 北太平洋 / 滞留時間 / X線分析 / ラドン / トレーサー利用 / 大気流跡線 |
Research Abstract |
本研究は,海洋上においてエアロゾル試料採取を行い,高感度の多元素同時分析法である粒子線励起X線分析法(PIXE)を活用して洋上エアロゾルに含まれる諸元素濃度の粒径分布を求め,半減期3.82日のラドンを陸起源大気の輸送時間のトレーサーとして利用して,陸起源エアロゾルの長距離輸送の動態を明らかにし,陸起源元素の対流圏内滞留時間を評価することを目的とするものである。 1995年1月に運輸省航海訓練所の練習船日本丸による東京-ハワイ間の航路において,ドラム式カスケードインパクターを使用して採取したエアロゾル試料について,捕集膜の下に装着した薄板状CR-39飛跡検出器に記録されたα線飛跡数を計測して,ラドン娘核種濃度の時間的変化を調べた。連続捕集された試料によりラドン娘核種濃度の詳細な時間的変化が求められ,また,その粒径分布の時間的変化も明らかになった。 500HPa,700HPa及び850HPaの等高線図と地表面の等圧線図を用いて,3時間毎の観測点からの大気流跡線線追跡を行い,陸地からの大気輸送時間から求めたラドン濃度の減衰率と実測されたラドン濃度とを比較し,ラドンを陸起源大気のトレーサーとして利用する方法の信頼性が高いことを確かめることができた。この結果については,1996年7月の第33回理工学における同位元素研究発表会において報告する。 別紙理由書に述べるように,震災のため肝心のPIXE分析による成果を挙げることができなかったので,過去の洋上エアロゾル試料採取時の大気流跡線解析を詳細に行って,本研究の目的とするエアロゾル長距離輸送の動態解明に努め,また,1996年1〜3月の日本丸による東京-ハワイ間の周回航路においてエアロゾル試料採取を実施した。復旧に全力を挙げた加速器及びPIXE分析装置は本年5月には使用可能になる見通しであるので,本研究をまとめた小冊子は,その成果を加え本年6月末までに提出する予定である。
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