1994 Fiscal Year Annual Research Report
光合成・色素分析から推定する湖沼底質中の植物プランクトンの堆積量
Project/Area Number |
06680498
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
相馬 悠子 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (90012400)
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Keywords | 光合成色素 / 植物プランクトン / カロチノイド / 湖沼底質 / 堆積物 |
Research Abstract |
霞ヶ浦湖心で1991年12月に採取し、2.5-3cmに分割し-20℃で保存しておいた底質柱状試料を使って、霞ヶ浦底質中の光合成色素の分析を行い、色素の垂直分布から霞ヶ浦の過去の植物プランクトン量と種類の増減を推定した。 湿泥をメタノール/アセトンで0℃で超音波抽出を行い、グラヂエントHPLCを使用して分析した。ダイオードアレイによる可視吸収スペクトルによる検出とと蛍光検出を使用し、クロロフィルとカロチノイドの区別をした。 同定されたカロチノイドは、alloxanthin、diatoxanthin、lutein、zeaxanthin、echinenone、fucoxanthin、 mxoxanthophy11、β-caroteneである。クロロフィルとその分解生成物としてはクロロフィルa、フェオフィチンa1、a2、bとフェオフォルバイドaが検出されたが、これらは底質表面から下方に向かって減少しており霞ヶ浦では分解速度が大きく、過去の堆積量の推定には使用できない。 カロチノイドの底質中垂直分布は種類によって2パターンに分けられた。^<210>Pbによる底質の年代決定結果を合わせてみると、第1は1970年以降最近数年前まで増加しているechinenone、alloxanthin、myxoxanthophy11のMicrocystesやAnabenaなどcyanobacteriaに特有なカロチノイドである。第2のグループは1965年から1975年あたりが落ち込んでいてそれより以前と以後が多いカロチノイドである。これらはlutein、zeaxanthin、diatoxanthinで緑藻、珪藻、クリプト藻に特有なカロチノイドである。霞ヶ浦は1963年に常陸川水門が造られ、1974年にはこの水門が完全に閉鎖されて湖水の淡水化が始まった。カロチノイドの垂直分布からみると、MicrocystisやAnabenaのCyanobacteriaは淡水化と共に増加が始まりここ数年はその増加がやんでいること、緑藻や珪藻は水門造成時期減少したが、種類を変え(汽水藻から淡水藻)同じように繁茂していることがわかった。
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