1996 Fiscal Year Annual Research Report
爆心地域原爆被爆者造血細胞の分子・細胞遺伝学的研究
Project/Area Number |
06680508
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鎌田 七男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
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Keywords | 高線量被爆者白血病 / p53遺伝子 / MLL遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は昭和43年から45年に行った原爆被災復元調査により確認された78名の500m以内原爆被爆者を基軸にしての細胞遺伝学的ならびに分子生物学的研究を行ったものである。 本年度はp53遺伝子およびMLL遺伝子の分子生物学的解析を行った。また、爆心地被爆者白血病を含む28例の高線量被曝白血病の染色体異常と被曝線量との関連について解析を加えた。 1.原爆被爆白血病細胞のp53およびMLL遺伝子解析 a)p53遺伝子解析 1 SV以上被爆白血病5例、0.01〜0.99SV被爆白血病8例、非被爆白血病25例を対象としてp53遺伝子のLOHの有無および塩基配列の異常を検索した。LOHおよび塩基配列異常ともに両群に有意差は認められなかった。 b)MLL遺伝子解析 1SV以上被爆白血病13例、0.01〜0.99SV被爆白血病15例、非被爆白血病268例についてMLL遺伝子再構成を検討した。被爆白血病群では一例も再構成はみられなかったが、非被爆白血病群では5例に再構成を認めた。 以上の結果ならびにこれまでのRAS遺伝子解析結果より高線量被爆白血病は一般的に言われている「個々の遺伝子の異常性蓄積により白血化する」という概念は当てはまらず、むしろ被爆放射線によって生じた大きな染色体異常をもつ遺伝的バランスの欠如が白血病化に大きく関与していることが考えられた。 2.高線量被曝者白血病の染色体異常と被曝線量との関連 0.01SV以上被曝した白血病患者の染色体異常個数と被曝線量との関連を検討したところ、染色体異常の複雑さは被曝当時に受けた線量と強い相関を示すことが明らかとなった。 Y(染色体異常個数)=0.79+1.88X(被曝時線量)
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hoshi, M.: "Estimation of radiation doses for atomic-bomb survivors in the Hiroshima University registry." Health Physics. 70. 735-740 (1996)
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[Publications] 田中公夫: "放射線照射による染色体不安定性と発癌" 放射線生物研究. 31. 120-135 (1996)
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[Publications] 田中公夫: "原爆被爆者白血病と二次性白血病の分子・細胞遺伝学的所見の比較" 広島医学. 49. 328-331 (1996)
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[Publications] 田中公夫: "α線照射によるヒト骨髄細胞、リンパ球での染色体不安定性の誘導" 広島医学. 49. 427-430 (1996)
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[Publications] Tanaka, K.: "Chromosome aberration analysis in atomic bomb survivors and Thorotrast patients using two- and three-colour chromosomes painting of chromosomal subsets." Int. J. Radiat. Biol.70. 95-108 (1996)
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[Publications] 江口真理子: "500m以内被爆78名中に発生した第2例目急性白血病症例の分子細胞遺伝学的解析" 広島医学. 49. 324-327 (1996)
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[Publications] Yokoro, K.: "War and Public Health" Oxford University Press, 412 (1996)