1994 Fiscal Year Annual Research Report
各種淡水環境における酸性降下物汚染浄化機能、特に硫酸還元能に関する基礎的検討
Project/Area Number |
06680529
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
上木 勝司 山形大学, 農学部, 教授 (10111337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上木 厚子 山形大学, 農学部, 助教授 (60143088)
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Keywords | 淡水環境 / 酸性降下物汚染 / 自己浄化機能 |
Research Abstract |
1.硫酸イオンの微量分析による硫酸還元活性測定法について検討した。その結果、電子供与体としての乳酸-Na等(約1mM)、Na_2SO_4(0.2-0.5mM)、還元剤としてのシステイン-HCl(0.5mg/ml)、酸化還元指示薬であるレサズリン(1μg/ml)およびMOPS緩衝液(10mM、pH7.0)よりなる硫酸還元活性測定液に、O_2除去N_2ガス下で試料を懸濁し、30℃で嫌気的に振盪保温した後、硫酸イオンをHPLC分析することで、硫酸還元をかなり定量性良く測定することができた。保温時間は12時間程度までが適当であった。 2.硫酸還元活性測定液を用いて、嫌気消化下水汚泥からの硫酸還元細菌分離菌株の純培養で細胞当りの硫酸還元活性(1時間当りの硫酸還元量)を測定したところ、30℃で0.27μmoles/10^8cells/hであった。一方、嫌気消化下水汚泥の硫酸還元活性は汚泥1000cm^3当り、30℃で2.46μmoles/hであり、硫酸還元細菌の細胞当りの活性は0.55μmoles/10^8cells/hと純培養菌の活性の約2倍であったが、概ね対応するものであった。 3.自然保護地域の山地を集水域とし、農業排水や生活排水などが流入しない、山形県鶴岡市郊外の大山公園内の沼地を試験地とし、底泥の硫酸還元活性および各種細菌の生息密度を約30cmの深さまで層別に調べた。硫酸還元細菌の生息密度は表層と最深層では10^3/cm^3のオーダーであったが、他の層(深さ約11-29cm)では10^4/cm^3のオーダーであり、最も高い層(深さ11-17cm)で約3X10^4/cm^3であった。嫌気性細菌の生息密度は全層を通して10^5/cm^3のオーダーであり、好気性細菌では底泥上層部で10^6/cm^3のオーダー、深い層では10^5/cm^3のオーダーであった。硫酸還元活性は高いところで底泥1000cm^3当りで32.1μmoles/hであり、硫酸還元細菌の生息密度から考えると、純培養菌や嫌気消化下水汚泥に比べて著しく高かった。この点については今後さらに検討する必要がある。 なお、沼地試料から硫酸還元細菌を7菌株分離し、現在純化を試みている。
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