1995 Fiscal Year Annual Research Report
微量有害物質の河川水と底泥の微生物分解に及ぼす共存界面活性剤成分の影響
Project/Area Number |
06680538
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 春美 京都大学, 工学部, 助手 (40089123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三郎 京都大学, 工学部, 教授 (90092808)
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Keywords | 有機リン酸トリウステル類 / 界面活性剤 / 生分解 / ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム |
Research Abstract |
有機リン酸トリエステル類(Organophosphoric acidtriesters: OPEs)は合成樹脂添加剤,可塑剤,溶剤,消泡剤,潤滑添加剤等で広く使用され,環境中に排出されている.これらの中には変異原性を示すものや有機系殺虫剤とほぼ同程度の毒性を示すものもあり,環境への悪影響が危惧されている物質である. 本研究ではOPEsの生分解特性に及ぼす合成洗剤LASの一種であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)の影響について報告する.また,界面活性剤の共存下におけるOPEsの液液抽出における溶媒種の影響についても考察をおこなった。以下得られた知見を示す. 1.抽出溶媒としてヘキサン,ベンゼン,ジクロロメタンの3種類を用いた.その結果1)界面活性剤としてDBS濃度が10mg/L以下の場合,ジクロロメタンの抽出効率がよい,2)DBS濃度が100mg/Lから1000mg/Lと高くなるとジクロロメタンの抽出効率が悪くなる,3)ベンゼンを用いた場合はDBS濃度の影響を受けにくい,4)TCEPのヘキサン抽出ではDBS濃度が上がるにつれて抽出効率が上昇する,こと等がわかった. 2.河川水にTBP,TBXP,TCEPをそれぞれ1mg/L濃度で,かつ,DBSが0,3,10.100mg/Lの共存条件にてOPEsの分解状況をしらべた.得られた知見は1)DBS100mg/L以上の共存では供試したOPEはいずれも分解しなかった,2)TBPはDBS濃度が0,3,10mg/Lの条件において濃度の増加とともにその分解開始時間がおくれた,3)TBXPはDBS濃度が0,3,10mg/Lの条件においてはその分解に何等影響を受けなかった,4)TCEPについては共存DBS濃度に関係なく全く分解されなかった. このようにOPEsの河川水中での生分解において多量のDBSの共存は分解を阻止し,OPEsの中でも生分解しにくいものはDBSの濃度が上昇すると分解開始におくれが生じる.
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