1994 Fiscal Year Annual Research Report
河川の富栄養化防止のための底泥管理手法に関する研究
Project/Area Number |
06680544
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 京子 九州大学, 工学部, 助手 (20110835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 博幸 九州大学, 工学部, 助手 (20240062)
森山 克美 九州大学, 工学部, 助手 (80157932)
楠田 哲也 九州大学, 工学部, 教授 (50037967)
|
Keywords | 底泥 / 脱窒 / 生分解性有機物 / N_2O |
Research Abstract |
水域の底泥における脱窒の強化とその中間産物であるN_2Oの生成について検討した。 先ず脱窒速度やN_2Oの生成に大きな影響を与える有機物量を測定した。物質変換に関わる生分解性有機炭素は、2cm深さまでの表層底泥にはTOCの約0.2%が存在し、深さ20cm位まででも表層の約80%存在することを実験的に示した。さらに、底泥における窒素と炭素について物質変換モデルを構築し、実測値をもとに物質収支のシミュレーションを行なった結果、供給された有機炭素のうち約55%が表層6cm深さまでで分解され、残りがそれ以深に輸送されることが明らかになった。さらに窒素を完全にN_2まで還元するのに必要な有機炭素量のみを律速条件とすると、水中のNO_2‐NとNO_3‐Nの濃度を約40mg/lまで増加させても脱窒能があることが明らかとなった。直上水の濃度は通常0.5〜3mg/lであり、N_2Oの生成を抑制し、かつ脱窒速度を促進させるために有機物はその制限因子とならないことを明らかにした。 次に有機物が充分に存在する場合での脱窒過程で生成されるN_2Oの挙動について回分実験により検討した。約20cm深さまでの底泥の脱窒ポテンシャルは、表層と同程度であったが、50cm以下では急速に低下した。表層から2cmまではN_2Oは脱窒過程の対数期に一時的に生成されたが、急速に減少した。しかしそれ以深の底泥では脱窒が進むにつれてN_2Oが蓄積される傾向を示した。下層の底泥を一度好気条件下においた後、嫌気条件にすると、脱窒速度とN_2Oの生成は、表層の底泥と同じ傾向を示した。以上の結果から、N_2Oを速やかにN_2へ還元させるためには、好気条件下で脱窒能のある従属栄養細菌を集積させることが必要であることが明らかになった。
|