1994 Fiscal Year Annual Research Report
タキサン型天然物合成を志向したアリルアルコール系の酸化的転位反応の総合的研究
Project/Area Number |
06680550
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 紀元 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (00006305)
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Keywords | (+)-ノピノン / 生物活性天然物 / ブラシレノール / タキサン / エナンチオ選択的合成 / 環外立体制御 / 酸化的転位 |
Research Abstract |
この研究はω-ブロムアルキル基を内在する環状α,β-不飽和ケトン類を基質として、これの分子内1,2-付加と酸化的転位を機軸とするエノン1,3-転位型アヌレーションを、生物活性天然物(ブラシレノールおよびタキサン類)の合成を志向して展開するものである。いずれも容易にかつ安価に入手できるテルペンを出発物質として効率的なルートを開発することを課題の一つとするため、現在は基質の調整段階にある。 ブラシレノール(1)のエナンチオ選択的合成では、不斉源としての有用性をさらにアピールすべく、(+)-ノピノン(2)が出発物質として選ばれた。2のC-4位の一般的な環外立体制御によるアルキル基導入は検討済みなので、今回は最初にC-3位のそれを検討した。これは1の合成に際し、5員環上の2級メチル基の立体制御にとって重要である。2のシリルエノールエーテルとクロトン酸エステル関連Michael受容体の反応は選択的に(1′S)-付加体を与えるのに対し、2から容易に得られる3とGrignard試薬、アリルシランなどの供与体との反応は、(1′R)-付加体(4)を優先的(>10:1)に与える傾向をみいだした。現在、最適条件の検索とともに、4の一つを用いて、5,6を経由する1の合成を進めている。 タキサンを志向した合成研究ではイソフォロンが出発物質であり、これを用いる基礎実験を開始している。すなわち、α′のアルキル化とケトンの1,3-transpositionによる7の最適合成ルートを探索し、7は我々のアヌレーションにより8に変換される。
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