1995 Fiscal Year Annual Research Report
タキサン型天然物合成を志向したアリルアルコール系の酸化的転位反応の総合的研究
Project/Area Number |
06680550
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Research Institution | Institute for Chemical Reaction Science |
Principal Investigator |
加藤 紀元 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (00006305)
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Keywords | 環外立体制御 / (+) -ノピノン / エナンチオ選択的合成 / 酸化的転位 / ブラシレノール / タキサン / 生物活性天然物 |
Research Abstract |
ω-ブロモアルキル基を置換した環状α,β-不飽和ケトン類の分子内Barbier反応により,核間位に水酸基を持つアリルアルコール体を合成し,これをPCCで酸化的転位を行なう1,3-転位型アヌレーションを考察し,これを天然物合成で実証することを計画した. 1,ブラシレノールの不斉合成の検討:この天然物の不斉合成の不斉源として(+) -ノピノン(1)を選び,1の3-トランス-エチリデン体をCu(I)塩の存在下に各種アルケニルGrignard試薬による共役付加を行なう環外立体制御を検討した.この反応は予想以上に高立体選択的に1R-体を与え,特に臭化ビニルマグネシウムではほぼ完全な立体選択性を示した(1のC-4位の環外立体制御はは発表済みなので,得られた結果はアリルアルコール体のClaisen転位反応の結果と合わせて投稿準備中である).これから数段階で(1R, 5R) -3-[(1R) -3-ブロモ-1-メチルプロピル]-6,6-ジメチルビシクロ[3. 1. 1]ヘプト-3-エン-2-オンを導き,これの分子内Barbier反応を検討した.この反応は非常に遅く底収率であり,反応も複雑であった.現在反応条件を検討し,収率の向上を検討中である. 2,タキサン骨格の合成の試み:タキサン類の特徴の一つは橋頭位の二重結合にあるが,この合成を志向して1,3-転位型アヌレーションによる橋頭エノンの新規合成を試みた.そこでビシクロ[n. 3. 1]デセン(n=4)およびウンデセン(n=5)骨格を得るべく,5-(4-ブロモブチルおよび5-ブロモペンチル)-2-シクロヘキセン-1-オンを基本骨格とする数種の誘導体を合成し,これらの分子内Barbier反応を行なった.この環化は7および8員環の中員環であり,予想された分子間のカップリングを優先するので,現在,高希釈条件下で金属イオンおよび溶媒などの選択による最適条件を探索中である.今後PCCによる酸化的転位を行ない橋頭エノンの新規合成を検討する.
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