1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680566
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 憲孝 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50197612)
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Keywords | パンクラチスタチン / FR65814物質 / 抗腫瘍性物質 / Ferrier反応 / クライゼン転位 / パラジウム環化反応 / 糖質 |
Research Abstract |
入手容易な糖質のひとつであるD-グルコースを出発原料として、抗腫瘍性アルカロイドであるパンクラチスタチンおよび癌転位を抑制する活性が期待されるFR65814物質を全合成するルートを確立することを目的として研究に着手した。 パンクラチスタチンの合成研究においては芳香族カルボン酸部の合成において、ピロガロールを原料とするルートを想定していたが、その後ブロモピペロン酸から合成するより簡単なルートを考案し、現在検討を進めている。多置換シクロヘキサン部については、D-グルコースからFerrier反応等により収率よく合成する経路を開発し、重要なステップであるパラジウムを用いる環化反応の前駆体までの合成ルートをほぼ確立することができた。また7-デオキシパンクラチスタチンの合成に重要であると思われる中間体を合成することに成功し、現在パンクラチスタチンおよびその7-デオキシ体への変換を検討している。 FR65814物質の合成に関しては、D-グルコースからFerrier反応を鍵反応として、効率的に置換シクロヘキセノールを合成する経路を確立した。これにクライゼン転位反応を行なうことにより、高収率で立体選択的に炭素側鎖を導入することに成功した。この側鎖を利用してラクトン体を合成し、減炭反応を経て、研究計画で想定した重要中間体であるメチルケトン体を収率よく得ることができた。現在このメチルケトン体への増炭反応を検討中である。
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