1994 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性キナーゼの基質認識特性の解析と阻害剤設計への応用
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06680569
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
安藤 祥司 愛知県がんセンター, 共通実験室, 研究員 (20193104)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / 蛋白質リン酸化 / 基質特異性 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
cdc2キナーゼおよびcdk5の基質認識性の特徴・相違を、合成ペプチド基質を用いて生化学的に明らかにした。具体的には 1.cdc2キナーゼをマウスFM3A細胞より楠畑らの方法で、cdk5をブタ脳・微小管画分より久永らの方法で精製した。2.基質として、ビメンチン蛋白質のリン酸化部位を含み、そのC末端側に隣接するPro残基を種々のN-メチルアミノ酸(サルコシン、N-メチルアラニン、N-メチルバリン、N-メチルロイシン)、あるいはProに類似した環状イミノ酸(アゼチジン酸、ピペコリン酸)で置換したペプチド、計15種類を固相法で合成した。3.合成ペプチドのリン酸化を、cdc2キナーゼあるいはcdk5について解析し、Kinetic定数を決定した。その結果、以下の知見を得た。1.両酵素の基質認識において、Pro残基のN-置換構造の重要性が確認された。2.環状イミノ酸とN-メチルアミノ酸の比較から、Proの環状構造の重要性が示された。3.N-メチルアミノ酸及び環状イミノ酸の疎水性側鎖の大きさは、酵素-基質間の親和性に影響した。4.cdk5はcdc2キナーゼに比較して、ProおよびC末端側塩基性アミノ酸の要求性が高いという特徴が見られた。 現在、cdc2キナーゼおよびcdk5の活性型の立体構造と基質結合部位の予測をコンピューターを用いて行なっている。また、上記ペプチドの立体構造も解析中である。このように平成7年度は、コンピューターを用いて、酵素-基質間の結合を立体構造的に予測・把握することによって、上述の生化学的結果を理論付ける。また、ニューロフィラメント蛋白質のリン酸化部位を含むペプチドについても解析を行なう。
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[Publications] Ando,S.: "Synthesis and cdc2 kinase phosphorylation of vimentin peptide analogs containing various imino acids in place of proline." Peptide Chemistry 1994. 印刷中 (1995)
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[Publications] Ando,S.: "Synthetic peptides representing the sites phosphorylated in vimentin and desmin as substrates for cdc2 kinase." Peptide Chemistry 1993. 277-280 (1994)
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[Publications] Tsujimura,K.: "Identification of phosphorylation sites on glial fibrillary acidic protein for cdc2 kinase and Ca^<2+>-calmodulin-dependent protein kinase II." J.Biochem.116. 426-434 (1994)