1994 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチジルアルギニンデイミナーゼのチオールによる活性発現機序と蛋白質工学的改善
Project/Area Number |
06680572
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
白岩 雅和 茨城大学, 農学部, 助教授 (10226318)
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Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナーゼ / 蛋白質修飾酵素 / 活性発現機序 / 蛋白質工学 |
Research Abstract |
Peptidylarginine deiminase(以下PADと略記)は、Ca^<2+>およびDTTなどのチオール存在下でアルギニン残基をシトルリン残基に変換する新しい蛋ら白質修飾酵素である。本研究では、PADの蛋白質工学的改善を目的としてPADの活性発現に関与する遊離Cys残基の同定を行い、反応機構の解明を試みた。まず、PADをリジルエンドペプチダーゼで消化し、遊離システイン残基をチオール基特異的修飾試薬であるABD-Fによって修飾し、逆相HPLCにより蛍光を有するペプチドを分離した。これらのペプチドをイオンスプレー質量分析計に供し、ペプチドの分子量を測定すると共に、アミノ酸配列分析を行った結果、遊離のシステイン残基をCys163,Cys175,Cys505,Cys555およびCys655と同定した。さらに、部位指定変異導入法によってこれらのシステイン残基をアラニンに置換した変異体を構築し、野生型PADに対する相対比活性を調べた。その結果、Cys163,Cys175,Cys505,Cys555の置換体については有意な差は見られなかったが、Cys655の置換体については活性が完全に消失した。そこで詳細な検討を行うため、その精製を行ったところSTI-Biogel A-15mアフィニティーカラムに対して野生型とほぼ同等の親和力を有したことから、活性の消失はCa^<2+>結合部位の置換によるものではないことが明らかとなった。また、精製したCys655の置換体のCDスペクトル分析を行ったところ、野生型PADと有意な差はなく、活性の消失が立体構造の変化によるものでないことが明らかとなった。以上の結果より、Cys655は活性中心に存在し、脱イミノ化反応に重要な触媒残基であることが推測された。
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