1994 Fiscal Year Annual Research Report
シメジIV型コラーゲン結合蛋白質の構造と細胞接着阻害活性
Project/Area Number |
06680591
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (40028197)
|
Keywords | 細胞外マトリックス / 癌転移 / コラーゲン / フィブロネクチン / 細胞接着 |
Research Abstract |
癌細胞と細胞外マトリックス成分との相互作用の解明は、癌細胞の転移を理解し、その抑止策を案出する上にも極めて重要である。とくに癌細胞の内皮基底膜への接着は転移の重要なステップと考えられ、この接着を阻害することにより転移を抑制できる可能性がある。これまでに、基底膜成分フィブロネクチンやIV型コラーゲンへの癌細胞の接着を阻害する物質の検索を試みた結果、シメジ抽出液にIV型コラーゲンへの3LL細胞の接着を阻害する活性があることを見い出した。本研究では、この阻害活性をもつ蛋白質の構造を決定し、またIV型コラーゲンやフィブロネクチンとの結合部位を明らかにし、細胞接着阻害活性の発現機構を明らかにすることを目的とした。本研究によって、IV型コラーゲンを用いるアフィニティークロマトにより、分子量23KのIV型コラーゲン結合蛋白質を単離することができ、また、この23K蛋白質が3LL細胞のIV型コラーゲンへの接着を濃度依存的に阻害することが明らかになった。23K蛋白質に対する抗体を作製し、この抗体を用いて種々の細胞外マトリックス成分との結合を固相酵素抗体法で調べた結果、23K蛋白質は、I型およびIV型コラーゲン、ゼラチンと結合し、フィブロネクチンとも結合するが、ラミニン、ウシ血清アルブミンとは結合しないことがわかった。23K蛋白質をリシルエンドペプチダーゼで消化して得られたペプチドのアミノ酸配列を決定した結果、新しい蛋白質であることがわかった。この酵素消化物をIV型コラーゲンを用いるアフィニティークロマトによって分画すると、分子量約13、000ペプチドが結合することがわかった。今後、このペプチドの構造を明らかにすることによって、IV型コラーゲンとの結合に関与するペプチド構造が明らかになると思われる。
|
-
[Publications] Tsuchida,K.,Aoyagi Y.,Odani S.,Mita T.,and Isemura M.: "Isolation of a novel collagen-binding protein from the mushroom,Hypsizigus marmoreus,which inhibits the Lewis lung carcinoma cell adhesion to type IV collagen" The Journal of Biological Chemistry. 270. 1481-1484 (1995)