1994 Fiscal Year Annual Research Report
血清由来ヒアルロン酸結合タンパク質(SHAP)がHAと結合することの意義
Project/Area Number |
06680594
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
米田 雅彦 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助手 (80201086)
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Keywords | ヒアルロン酸結合タンパク質 / 共有結合 / インターαトリプシンインヒビター / ヒアルロン酸 / 血清 |
Research Abstract |
血清由来ヒアルロン酸結合タンパク質(SHAP)とヒアルロン酸(HA)の複合体形成機構の解明が今年度の目的であった。先ず、SHAP分子中にHAと結合活性を示す部位が存在するかどうか調べた。SHAPはITIの構成成分であるHC1とHC2であるが、HC1とHC2はビクニンのコンドロイチン硫酸鎖と共有結合しているために単独で使用することはできない。また、SHAP-HA複合体からSHAPを分離するにはヒアルロニダーゼ消化または弱いアルカリ処理が必要であった。そこで、SHAPの遺伝子をヒト肝臓cDNAライブラリーから単離し、グルタチオンS-トランスフェラーゼ融合タンパク質を発現するプラスミドに組み込み、大腸菌で作らせたものを用いた。さらに、SHAPの部分ペプチドを大腸菌で発現するように構築を行い実験に用いた。結合活性の測定はヒアルロン酸アフィニティカラム法、ビオチンヒアルロン酸による結合アッセイ等の方法で検討したが、結合活性は検出できなかった。そこで、SHAPのHAに対する強固な結合は共有結合によると考え、SHAPとヒアルロン酸の結合部位の構造解析を行なった。構造解析に必要な結合部位の精製は、タンパク質分解酵素でSHAPを低分子化した後、HAをヒアルロニダーゼで分解し、HPLCで分画・精製することで行った。その精製された結合部位に含まれるペプチドはオートシーケンサーの解析よりSHAPのC末部分のペプチドに相当した。C末端のアスパラギン酸は修飾を受けていた。さらにイオンスプレーマススペクトルによる構造解析から、アスパラギン酸のカルボキシル基とヒアルロン酸のN-アセチルグルコサミンのC6がエステル結合している構造が推定された。この糖とタンパク質の結合はITIの長鎖とビクニンのコンドロイチン硫酸との結合と同じものであり、今までITIにしか見られない結合がSHAP-HA複合体にも存在した。すなわち、ITIのビクニンのコンドロイチン硫酸鎖がヒアルロン酸におきかわったことを示した。この際、HA-SHAP複合体形成に血清成分に含まれる因子が必要であることが明らかになった。この因子は熱で活性を失うことからタンパク質成分と考えられる。現在、この因子の同定が進行中である。 以上のことから、SHAP-HA複合体形成過程の一部が明かになった。血清中の酵素が働いてITIのSHAPs(HC1とHC2)が細胞の合成したHAと共有結合して、SHAP-HA複合体が作られる。その時ビクニンの放出が生じることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)