1994 Fiscal Year Annual Research Report
Src型チロシンキナーゼの活性化を担うチロシンホスファターゼの解析
Project/Area Number |
06680612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 雅人 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (10177058)
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Keywords | Src / チロシンホスファターゼ / Sck / チロシンキナーゼ / 神経系 |
Research Abstract |
Src型チロシンキナーゼに特異的に作用するチロシンホスファターゼを同定し、その解析を通じてSrc型チロシンキナーゼの特に神経系での機能を明らかにすることを目的とした研究を行い、以下の成績を得た。1)ラット脳cDNAライブラリーより単離した神経系で比較的発現レベルの高いチロシンホスファターゼ(3種同定)について特異性を検討した結果、一種はSrcに対して活性を示すことが明らかになった。また神経細胞の発生の盛んな時期にその発現が高まることから、Srcとの関連性が強く示唆され、神経分化モデル(胚性腫瘍細胞P19)を用いた機能解析を現在進めている。2)Srcの活性制御部位に特異的なチロシンキナーゼCskを用いて調製したリン酸化Srcを基質にして、特異的なチロシンホスファターゼの分離精製を試みた。まずラット脳の粗抽出液をゲルろ過法で分離することにより、Srcに対して高い活性を示す分子が存在することを確認した。さらに数段のカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、ラット脳膜画分より分子量約35Kの分子を同定することに成功した。そのチロシンホスファターゼはin vitroでSrcを効率良く脱リン酸化し、かつ活性化した。しかしながら、Srcの活性制御部位に特異的ではなく、活性化に関与するとされている自己リン酸化部位にも作用した。現在その生理的役割を解析するために、構造解析、cDNAクローニングを進めている。
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