1995 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ基転移反応におけるシッフ塩基の反応性を保証する酵素構造の検索
Project/Area Number |
06680619
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Research Institution | KUMAMOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
棚瀬 純男 熊本大学, 医学部, 助教授 (20112401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 強 熊本大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70128304)
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Keywords | タンパク質工学 / 部位特異的突然変異 / アミノ基転移 / 補酵素 / 核磁気共鳴 / ヒスチジン残基 / 遺伝子工学 / シッフ塩基 |
Research Abstract |
補酵素結合部位を弧状に取り巻きPLPと水素結合する残基間のネットワークの一部を構成するHisクラスターが共同して活性域内荷電状態の安定性を保ち、シッフ塩基の反応性を増加している可能性を明らかにするため酵素変異体を作成し、変異酵素の諸性質を野性型酵素と比較検討した。平成6年度の結果をふまえて、より詳細な動力学的、物理化学的解析を、すでに得られている変異体について行うとともに、Ala残基置換体を作成し解析を進めた。 1.帰属が決定したHis189残基シグナルに着目し、基質や基質類似体存在下におる化学シフト変化や、Hisクラスター間の相互作用による化学シフト変化を観察した結果、3つのHis残基間に相互作用があると考えられた。 2.H189Gln変異酵素でシッフ塩基pK値の上昇が観察されたことから、側鎖の空間充填率が小さいAla置換酵素を作成し、シッフ塩基の状態変化が局所的な立体構造の変化によるものか、電荷の減少によるものかを検証した。Ala置換体ではシッフ塩基の著名な状態変化は認められなかった。 3.X線による変異酵素の解析では、His189と同じ空間をGln189が占めており、酵素全体構造には変化がなかった。しかし、Gln189で認められたLys258(NZ)-PLP(C4′)結合への置換による影響が、Ala189置換体では認められなかったことより、野生型酵素でHis189側鎖と近接しているHis193-Asn194ペプチド骨格とGln189側鎖間に変異に伴う密接な相互作用が生じ、His189Glnでシッフ塩基の状態変化として観察されたと考えられた。 4.基質類似体[^<15>N]2-methylaspartateを合成し、酵素-基質複合体におけるシッフ塩基の状態を、野性型および変異型酵素で観察する目的で、基質類似体の水溶液中におけるpK値を求めた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nishimura: "Functional roles of the amino-terminal mobile segment in catalysis by porcine cytosolic aspartate aminotransferase : Critical importance of Val^<17> and Phe^<18> for productive binding of substrates." J.Biol.Chem.269. 24712-24718 (1994)
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[Publications] D.E.Metzler: "NMR studies of ^1H resonances in the 10-18-ppm range for cytosolic aspartate aminotransferase" J.Biol.Chem.269. 28017-28026 (1994)