1994 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体の遺伝子発現とその調節の分子的解析
Project/Area Number |
06680621
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
川本 進 横浜市立大学, 医学部, 講師 (80125921)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / イオンチャネル / ヘルペスウイルスベクター / ウイルスベクター / 中枢神経系培養細胞 / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は感染域が広く、細胞への障害性は少なく、遺伝子治療を含めた基礎的な動物実験を行えることが期待できる欠損型Herpes Simplex Virus Type I(HSV)ベクターを用いてグルタミン酸受容体遺伝子の発現とその調節の基礎的な知見を得ることにあるが、本年度、ベクターの改良、その発現系の基礎的な実験、ζ1サブユニット遺伝子5'上流域のクローニングが進んだ。NMDA型グルタミン酸受容体チャネルζ1サブユニット遺伝子発現とその調節をHSVベクターを用いて解析すべく、まずζ1サブユニットcDNAの5'非翻訳領域断片、膜貫通領域を含む断片をプローブとしてマウスゲノムライブラリーをスクリーニングし、数個の陽性クローンを得て塩基配列等の解析を行いつつある。次にHSVベクターを用いて神経系の細胞のみならず、他の細胞でも感染可能かどうかPC12細胞(ζ1の発現が報告されている)、Rabbit skin細胞、Vero細胞などへの感染実験を行い、β-ガラクトシダーゼをマーカーとした発色実験でこれを確認した。更に、MOIを変化させるなどして種々の条件下においての定性、定量実験を行った。また、今後の使用を考えて数種類のクローニング部位を付加したり、プロモーターアッセイを行うにあたり、CAT、ルシェフェラーゼ遺伝子の挿入等行い、ほとんど情報のないHSVベクターを用いた発現系の基礎的な感染、発現実験を進め、本受容体の発現及びその調節の分子的解析を培養細胞及び動物個体レベルで進めていく準備を整えた。本ベクターを用いた報告は今のところあまり多くなく、発現系としての情報が十分とはいえず、本系の基礎実験を進めるとともに、他の系では得られない重要な知見の発現につなげていきたい。また、バキュロウイルスベクター系を用いてζ1サブユニットの高効率発現系を構築し、本受容体タンパク質を分子的、機能的に解析し、既に知見を得つつある。
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[Publications] Kawamoto,S.: "Expression and characterization of the ζ1 subunit of the NMDA receptor channel in a baculovirus system." Molecular Brain Research. (印刷中) (1995)
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[Publications] 服部,聡: "バキュロウイルスベクターおよびヘルペスウイルスベクターを用いたNMDA型グルタミン酸受容体の発現" 第17回日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集. 428- (1994)