1995 Fiscal Year Annual Research Report
Tリンパ球の活性化において特異的に出現するガングリオシドの機能に関する研究
Project/Area Number |
06680637
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野原 恵子 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (50160271)
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Keywords | T細胞 / 胸腺細胞 / 活性化 / ガングリオシド / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
私達は先にラットの胸腺細胞と成熟T細胞の主要ガングリオシドがGD1c(NeuGc, NeuGc)という分子であることを明らかにした。また胸腺細胞の活性化によってGD1c(NeuGc, NeuGc)量が大きく増加し、さらに活性化前には検出されなかったGD1b(NeuGc,NeuGc)というガングリオシドが新たに主要成分として出現してくることを明らかにした。この活性化T細胞特異的ガングリオシドの機能を明らかにする目的で本研究を行った。 まずGD1b(NeuGc, NeuGc)に対するモノクロナール抗体の作製を行った。得られた抗体AB1はGD1b(NeuGc, NeuGc)と強く反応し、GD1b(NeuAc, NeuAc)にも反応したが、その他に検討したGD1c(NeuGc, NeuGc)をはじめとするガングリオシドとは全く反応しなかった。またGD1c(NeuGc,NeuGc)についてもモノクローナル抗体を作製した。得られた抗体AC1はGD1c(NeuGc,NeuGc)と強く反応する他、GD1b(NeuGc,NeuGc)ともある程度反応し、GD3(NeuAc,NeuAc)とごくわずかに反応したが、他のガングリオシドとは全く反応しなかった。AB1,AC1のアイソタイプはともにIgG3(κ)であった。 これらの抗体を用いてラットの胸腺細胞および脾臓T細胞の活性化についてflow cytometry解析を行った。活性化前の胸腺細胞およびT細胞では主としてCD4^+細胞の一部にAC1^+細胞が存在し、AB1^+細胞は認められなかった。これらの細胞をTPAおよびカルシウムイオノフォアA23187で刺激して活性化させるとAC1^+細胞の比率が大きく増加するのに対して、AB1^+細胞は胸腺細胞の活性化においてのみ出現することが明らかとなった。以上の結果から、GD1c(NeuGc, NeuGc)はラット胸腺細胞および成熟T細胞の活性化に関与するのに対して、GD1b(NeuGc, NeuGc)は胸腺細胞の活性化に特異的な分子であることが示唆された。
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