1994 Fiscal Year Annual Research Report
イネ染色体上に存在する新しいタイプのトランスポゾンの解明
Project/Area Number |
06680664
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 栄一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10158800)
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Keywords | イネ / 転移性遺伝因子 / トランスポゼ-ス / 自律性因子 / 標的配列 / トランスポゾン / 非自律性因子 / 末端逆向き配列 |
Research Abstract |
我々は、イネにおいてTA配列に特異的に転移する遺伝子Tnr1(約230bp)とトランスポゾン様配列Tnr2(147bp)を見いだしたが、これらは既知の3つのファミリーに属する植物の転移性遺伝因子とは異なる末端逆向き配列をもっていた。両者ともそれらの大きさから考えて、転移に必須のトランスポゼ-スをコードする自律性因子ではなく、その存在によって転移できるような非自律性因子と考えられた。本研究は、1)構造、転移様式が不明であったTnr2に関して、染色体上の種々の異なる座に存在するメンバーを分離し、構造を解析すること、2)Tnr1およびTnr2両者の自律性因子を分離し、トランスポゼ-スをコードする領域を明らかにすることによって、Tnr1とTnr2が新規のトランスポゾンであることを実証することを目的としたものであり、本年度で得られた結果は次のように要約できる。 1.イネO.sativaからtotal genomic DNA をpUC118にクローニングしライブラリーを作成し、Tnr2の塩基配列の一部分に対応するオリゴヌクレオチドをプローブとして、異なる座に挿入されているTnr2のメンバーを運ぶクローンを得、クローン内のfragment中に存在するTnr2の塩基配列及びそれに隣接する配列を決定した。その結果、Tnr2メンバーが互いに良く似た大きさの配列からなること、各座において8bpの標的配列が重複しているがそれらに特異性は無いこと、が分かった。 2.Tnr1又はTnr2のコンセンサス配列を基にして、その両端から内側に向かってDNAが伸長させられるようなオリゴヌクレオチドを1組ずつ合成し、それらをプライマーとしてPCRを行い、増幅したfragmentの塩基配列を決定した。得られたものは自律性因子の完全長を持つものではなく部分配列であったが、決定した塩基配列内のエクソンにコードされるアミノ酸配列と既知の転移性遺伝子のトランスポゼ-スのアミノ酸配列とのホモロジーを調べたが、相同なものは存在せず、従ってこれらが予想通り新規の転移性遺伝因子であることが明らかになった。
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[Publications] Tenzen,T.: "Transposition of Tnr1 in rice genomes to 5′-PuTAPy-3′,duplicating the TA sequence." Mol.Gen.Genet.245. 441-448 (1994)
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[Publications] Hirano,H.: "Retroposition of a plant SINE into the wx locus during evolution of rice." J.Mol.Evol.38. 132-137 (1994)
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[Publications] Ohtsubo,H.: "Invovement of transposition in dispersion of tandem repeat sequences(TrsA)in rice genomes." Mol.Gen.Genet.245. 449-455 (1994)
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[Publications] Kamisugi,Y.: "Physical mapping of the 5S ribosomal RNA genes on rice chromosome 11." Mol.Gen.Genet.245. 133-138 (1994)