1994 Fiscal Year Annual Research Report
培養白血病細胞の分化・脱癌化誘導における低分子量GTP結合蛋白質の発現の調節
Project/Area Number |
06680687
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
三島 宏一 島根医科大学, 医学部, 講師 (90181875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾原 清司 島根医科大学, 医学部, 助手 (70204279)
原田 利夫 島根医科大学, 医学部, 講師 (90135921)
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Keywords | 低分子GTP結合タンパク質 / ras / 細分増殖 / 分化 / ノーザンブロティング |
Research Abstract |
HL60(前骨髄球性白血病細胞)は、Methotorexateの濃度に依存してその増殖が抑制された。すなわち、5ng/mlでは、抑制がほとんどかからず、50ng/mlでは増殖はほとんど停止した。HL60をMethotorexateで前処置してからレチノイン酸で分化を誘導すると、増殖が抑制される濃度以下(5ng/ml)で分化の誘導は促進され、50ng/mlでは逆に分化誘導が抑制されることがわかった。すなわち、HL60は、低濃度のMethotorexateでその分化誘導にプライミングがかかったことになる。このときに、HL60のRNAをノーザンブロッティング法で分析すると、3つのrasのうち、H-rasのみが、有意にその発現が増殖されていることが判明した。このことは、増殖の抑制がかからない状態でもH-rasの発現が調節を受けていることを示しており、このrasが細胞の分化にも関与していることを示唆するものである。rasはレチノイン酸による分化誘導の際にも特異的にその発現が調節されており、今回の研究は、細胞の分化、増殖さらには癌化に、3つのrasがいかに関与しているかを解明するのに大きな手がかりが得られたものと思われる。今後の課題としては、他の低分子GTP結合蛋白質がこのときいかなる調節を受けているか、また、rasの下流に存在するrafやMAP,MAP kinaseがいかなる発現機構を持つかを検討することである。
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