1996 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイド前処理真皮線維芽細胞による表皮細胞の粘液細胞への分化転換機構の解明
Project/Area Number |
06680697
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
帯刀 章子 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80112762)
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Keywords | レチノイド / 表皮 / 真皮線維芽細胞 / 表皮粘液化生 / 皮膚 |
Research Abstract |
レチノイドは培養表皮細胞に作用して表皮細胞の角質化を抑制する。一方、レチノイドを過剰投与した動物においては皮膚表皮は薄くなり、浮腫を生じ易くなるが、レチノイド欠乏食を与え続けた動物では消化管粘膜、角膜などの上皮細胞が角質化する。即ち、レチノイドは皮膚や消化管粘膜に作用して、上皮細胞の角質化を抑制し、粘膜分泌細胞への誘導(表皮粘液化生)ないしはその維持を図る。既に我々はニワトリ胚皮膚真皮細胞にレチノイドが作用した結果、8時間以内に発現誘導されるシグナルタンパクにより表皮細胞が粘液細胞へ分化転換することを明らかにしている。従って本研究ではレチノイドによる皮膚表皮粘液化生誘導の作用機構を分子レベルで明らかにするために、レチノイドを作用させた真皮繊維芽細胞と未処理の細胞を用いて、differential displayを行い、レチノイドにより初期に発現誘導される遺伝子の同定を試みた。現在までにレチノイドにより誘導されるcDNAを数十個サブクローニングし、dot hybridization,Northern hybridizationを行ってポジティブクローンを数個得ている。今後は、培養ニワトリ胚真皮繊維芽細胞をレチノイドで処理した細胞からcDNAライブラリーを作製し、クローニングを行って遺伝子を解析する。さらにそれが粘液化生のシグナルか否かをレトロウイルスをベクターとした遺伝子導入法を用いて検討する予定である。
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