1995 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスE1A遺伝子によるアポトーシスの誘導とE1B遺伝子によるその抑制
Project/Area Number |
06680699
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 琢磨 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (90256678)
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Keywords | アデノウイルス E1A / アポトーシス / トポイソメラーゼIIα / アデノウイルス E1B / ユビキチン / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
(1)E1A誘導アポトーシスにおけるトポイソメラーゼ(topo)IIαの分解機構;免疫沈降により、または核マトリックスとして調製したtopoIIαを基質とし、アポトーシスを誘導したMA1細胞抽出液(S10)中での分解機構を解析した結果、以下のことが分かった(論文投稿中)。(1)TopoIIαはATPとユビキチン(Ub)依存性に分解される。(2)この分解活性は、S10を70,000xg,6時間遠心して上清(S70)と沈澱(プロテアソーム濃縮画分、P70)に分けると失われるが、再混合により回復する。(3)S10およびS70にはTopoIIαにUbおよびGST-Ub融合タンパクを重合して付加する活性が存在する。(4)TopoIIαにUbを付加するS10中の活性はアポトーシスの誘導により4倍以上上昇する。(5)TopoIIαのペプチド断片を用いた解析から、1〜198アミノ酸領域にUb付加部位が存在するが、効率的な分解にはTopoIIαのペプチド全長が必要である。 この結果は、TopoIIαがUbタンパク分解系により分解されること、E1A誘導アポトーシスの過程でTopoIIαに対するUb付加酵素群が活性化しTopoIIαの分解が亢進することを示唆する。 (2)E1B19k結合性細胞内タンパクのcDNA単離;Two-hybrid system法によりE1B19kと結合するタンパクのcDNAを、アポトーシス誘導後0,6,12,24,36および48時間のMA1細胞の混合より調製したcDNAライブラリーから検索した。その結果、すでにE1B19kとの結合が報告されているラミンA,C,Nip3,Bakとともに未知遺伝子B5のcDNAを単離した。B5のアミノ酸配列と結合特異性を解析した結果、(1)膜貫通領域を持つ、(2)膜貫通領域のアミノ酸配列がNip3と高い相同性をもつが、N末端領域では全く相同性がない、(3)E1B19kとの結合にはE1B19kのN末端側のdestruction boxを含む領域が必要である、(4)Bcl-2とは結合しないことが分かった。またデータベース検索の結果、B5は中枢神経系の構築に伴う細胞死が起こる幼児の脳で強く発現していることが分かった。
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