1995 Fiscal Year Annual Research Report
胚性癌腫細胞の分化誘導におけるFGFとFGFレセプター亜種の発現と機能の解析
Project/Area Number |
06680701
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
瀬尾 美鈴 京都産業大学, 工学部, 助教授 (60211223)
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Keywords | FGF / FGFR / 神経細胞の分化 / 胚性癌腫細胞 / レチノイン酸 |
Research Abstract |
多分化能を持つマウス胚性癌腫細胞EC P19細胞は、レチノイン酸濃度に応じて神経系の細胞や筋肉系の細胞に分化誘導される。平成6年年度の研究により、P19細胞のレチノイン酸(10^<-6>M)による神経細胞の分化誘導過程において、FGF9の遺伝子発現が誘導されることを明らかにした。そこで、P19細胞のレチノイン酸による神経細胞の分化誘導過程において、FGF9の発現をタンパク質レベルで確認し、FGF9がニューロン及びグリア細胞の機能にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを平成7年度の研究目標とした。最初に、神経細胞とアストログリアの細胞マーカーであるニューロフィラメント160、GFAP、そしてFGF9の発現を、P19細胞の神経系細胞への分化誘導過程において経時的に蛍光抗体法及びウェスタンブロット分析を用いて検出した。その結果、それら3種類のタンパク質が未分化細胞では発現しておらず、分化誘導した細胞においてのみ発現していることが明らかになった。次に、神経細胞及びアストログリアのうち、どちらの細胞がFGF9を分泌しているのかを調べるために、ニューロフィラメント160及びGFAPをFGF9と共に二重染色した。その結果、FGF9の抗体により神経細胞及びアストログリア共に染色された。同様にして、FGFのレセプターであるFGFR1、FGFR2、FGFR3の発現を蛍光抗体法によって検出した。その結果、特にFGFR2の発現は興味深いものであり、FGF9と全く同様な発現分布を示していた。このことは、FGF9がFGFR2に結合することによってシグナルを伝達し、神経細胞の成長及び維持に働いている可能性を示唆する。今後、ニューロフィラメント160とFGFR2、またFGFR2とFGF9を二重染色することによって神経細胞にFGFR2が存在し、さらにFGFR2がFGF9に親和性のあるレセプターであることが確認できれば、この研究結果を裏付けることが出来るであろう。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Misuzu Seo, Kiyoshi Noguchi: "Retinoic acid induces gene expression of fibroblast growth factor-9 during induction of neuronal differentiation of mouse embryonal carcinoma P19 cells" FEBS Letters. 370. 231-235 (1995)
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[Publications] 瀬尾美鈴: "FGFによる神経細胞の分化誘導" 京都産業大学論集 自然科系列II. 27(平成8年5月印刷予定). (1996)