1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680715
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
石原 勝敏 埼玉大学, 理学部, 教授 (10008807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末光 隆志 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40092019)
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Keywords | ウニ / 成体原基形成 / 甲状腺ホルモン / ヨツアナカシパン / 変態 / 甲状腺ホルモンリセプター |
Research Abstract |
幼生の時期に餌を食べる3種のウニでは、甲状腺ホルモンを餌である珪藻から摂取し、このホルモンがウニ原基形成などを促進していることが明らかにされているので、餌を食べずに発生するヨツアナカシパンにおける甲状腺ホルモンの作用及びその含有量を調べた。 受精直後、後期原腸胚、受精後29時間のプルテウス幼生に、T4あるいはT3を与えると、変態に至る発生時間が短縮され、この発生促進の効果は発生段階の早期に与えるほど大きく、T4とT3では特に効果の差は認められなかった。RIAを用いた微量定量法によって、発生段階の各時期におけるT4,T3の含有量を測定すると、T4,T3ともに、未受精卵にも少量含まれており、発生に伴って増加し、変態直前に急激に増加することが分かった。また、甲状腺ホルモンの阻害剤であるチオウレア、過塩素酸カリウムを与えると、幼生の発生は阻害され、この時も、発生早期に与えるほど阻害効果が大きいことが明らかになった。過塩素酸カリウムはヨウ素の取り込みを阻害するから、正常発生では、幼生は海水中からヨウ素を取り込み、甲状腺ホルモンを自ら合成し、変態に至る幼生の発生を促進している可能性が示唆された。一方、イトマキヒトデの発生に対しては甲状腺ホルモンは無効であり、幼生における含有量も微量であるから、他の有効物質を検討する必要がある。 また、ウニ幼生の甲状腺ホルモンに特異的に結合するタンパク質の有無を調べた。このタンパク質は細胞核に存在し、発生に伴って増加することが明らかとなった。このタンパク質は、その大きさ、性質等から、甲状腺ホルモンリセプターの可能性が高く、解析を続けている。
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