1994 Fiscal Year Annual Research Report
上皮・間充織相互作用の分子機構:哺乳類消化管細胞の初代培養系を用いた解析
Project/Area Number |
06680716
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深町 博史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70134450)
|
Keywords | 上皮・間充織相互作用 / 初代培養 / 上皮細胞 / 胃 / 小腸 / 増殖因子 / 基質 / 分化 |
Research Abstract |
1。腺胃上皮の増殖と分化の調節におけるHGFの役割。平成6年度に我々は、成体ラットにグルココルチコイドを投与すると、腺胃上皮細胞の増殖が抑制され、ペプシノゲンの発現が促進されること(研究発表論文#3)、また胎児ラットにおいて腺胃間充織がHGFmRNAを発現すると共に、HGFが腺胃上皮の増殖を誘導すること(研究発表論文#4)を報告した。他の系で、グルココルチコイドがHGFの産生を抑制することが報告されている。これらの結果は、グルココルチコイドが間充織内でのHGF産生を抑制し、その結果上皮細胞の増殖が低下し、その分化が促進されるという機構の存在を示唆している。この仮説を器官培養系および成体ラットを用いて検証した。その結果、器官培養系では、グルココルチコイドの上皮細胞分化促進作用は、HGF処理しても変わらないことが示された。しかし成体ラットにグルココルチコイド投与すると、間質中のHGFmRNAが減少すること、HGFの発現が低下した後に、上皮の分化マーカーであるペプシノゲンのmRNAが増加することが示され、少なくとも、生体内の系では、上記の仮説が正しいことが示唆された。 2。腺胃上皮の増殖と分化を調節する間充織由来因子の同定の試み。腺胃上皮がペプシノゲンを発現するには間充織が必要であることは既に示した。間充織の作用機構として、(1)細胞の直接接触、(2)細胞外基質を介する作用、(3)液性因子を介する作用、の3つが考えられる。この点を明らかにする目的で、上皮・間充織間にコラーゲンゲルを挟み込み、培養する実験を行った。その結果、腺胃上皮がペプシノゲンを発現するには、上皮と間充織の直接接触も、間充織が分泌する基質も不要であることが示された。よって、間充織が分泌する液性因子が重要な役割を果たしていると思われる。現在、この液性因子の同定を試みている。
|
-
[Publications] Fukamachi,H,et al.: "Fetal rat glandular stomach epithelial cells differentiate into surface mucous cells which express cathepsin E in the absence of mesenchymal cells in primary culture." Differentiation. 56. 83-89 (1994)
-
[Publications] Tsukada,S.,et al: "Glucocorticoids inhibit the proliferation of mucosal cells and enhance the expression of a gene for pepsinogen and other markers of differentiation in the stomach mucosa of the adult rat." Biochem.Biophys.Res.Commun.202. 1-9 (1994)
-
[Publications] Tsukada,S.,et al.: "Effect of omeprozole on secretion,synthesis and the gene expression of pepsinogens in the guinea pig stomach mucosa." Cell Biochem.Funct.12. 113-120 (1994)
-
[Publications] Fukamachi,H.,et al.: "Hepatocyte growth factor region-specifically stimulates gastro-intestinal epithelial cells in primary culture." Biochem.Biophys.Res.Commun.205. 1445-1451 (1994)
-
[Publications] Fukamachi,H.,et al.: "Growth of fetal rat gastro-intestinal epithelial cells is region-specifically controlled by growth factors and substrata in primary culture." Development Growth Differ.37(印刷中). (1995)
-
[Publications] Miki,K.,et al.: "Effects of omeprazole on pepsinogen-producing cells,with special reference to morphology,function and differentiation." Excerpta Medica. (印刷中). (1995)