1994 Fiscal Year Annual Research Report
初期胚糖鎖抗原-1を生合成するフコース転移酵素のクローニング
Project/Area Number |
06680725
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
成松 久 創価大学, 生命科学研究所, 教授 (40129581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 祥子 創価大学, 生命科学研究所, 講師 (00164575)
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Keywords | SSEA-1抗原 / フコース転移酵素 / F9テラトカルシノーマ細胞 / 初期胚抗原 / 糖転移酵素 / α1,3フコース転移酵素 / ルイスX抗原 / ルイス抗原 |
Research Abstract |
糖鎖抗原は、糖転移酵素の逐次的な反応により生合成される。初期胚表面の糖鎖構造は、初期胚糖鎖抗原-1(SSEA-1)に代表されるように、胚発生の段階特異的に劇的に変化し、細胞間認識物質として機能していることが以前より指摘されてきた。SSEA-1抗原の抗原エピトープであるLewisx(Le^X)構造(Galβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1-3-R)の生合成に関与する3種類の糖転移酵素のうち、α1-3フコース転移酵素(α1-3Fuc-T)の遺伝子をクローニングする目的で、昨年度より以下の実験を遂行してきた。 現在までに互いにきわめて相同性の高い5種のα1-3Fuc-T遺伝子(Fuc-TIII,IV,V,VI,VIIと命名されている。)がクローニングされている。それぞれのα1-3FucTのmRNAの各種組織における発現の分布が解析されてきた。Fuc-TIIIは、いわゆる血液型のルイス抗原を合成する酵素で、消化管上皮細胞やそれ由来の癌細胞に発現されていることを、我々は証明したきた。SSEA-1抗原が強陽性であるマウス胚性腫瘍細胞F9細胞には、いずれのα1-3FucT遺伝子も発現しておらず、これら既知のα1-3FucT遺伝子とはハイブリダイズしない未知のα1-3FucT遺伝子が存在し、それが初期発生において機能していることを示唆した。 昨年度、科研費一般Cの補助金にて以下の研究を行った。SSEA-1抗原を多量に発現している未分化のF9細胞のmRNAより、Bリンパ球系での発現ベクター(pAMo)をもちいて、約100万個の独立クローンよりなるcDNAライブラリーを作成した。このcDNAライブラリーからのプラスミドDNAを、EBウイルス形質転換B細胞株ナマルバ細胞にトランスフェクトし、G418にて選択して安定導入細胞株を作製した。これを抗SSEA-1抗体にてFITC染色し、FACSにてSSEA-1抗原陽性の細胞を選別した。Hirt法にて、これらの細胞よりプラスミドDNAを回収し、E.coliを形質転換してプラスミドクローンとした。 現在、このプラスミドクローンの解析を続行中である。
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