1994 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経変異動物における細胞内情報伝達機構の遺伝子組織学的解析
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06680746
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
阿部 寛 東海大学, 医学部, 教授 (40151104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 雅樹 東海大学, 医学部, 講師 (50163100)
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Keywords | 蛋白質ホスファターゼ / リーラー・マウス / スタゲラ-・マウス / Swaying・マウス / スンクス / 小脳皮質 / 組織構築 |
Research Abstract |
(1)リーラー・マウスとスタゲラ-・マウスの小脳プルキンエ細胞を用いて、脱リン酸酵素(蛋白質ホスファターゼ)の遺伝子の発現の調節機構を追究した。リーラー・マウスでは脱リン酸酵素のmRNAは対照動物とほぼ同様であり、遺伝子の変異や神経細胞の移動と層形成異常によっても、脱リン酸酵素のmRNAの発現が大きな影響をうけないことが明らかとなった。一方スタゲラ-・マウスでは、検討した脱リン酸酵素のすべての分子種(PP2A、PP2B、PP2C)において、そのmRNAの発現が大きく減少していた。この理由として、遺伝子の変異による直接の影響と、プルキンエ細胞の樹状突起棘の減少に基づくシナプス形成異常の影響の2つが考えられた。(投稿中) (2)Segment polarity gene のWnt-1に異常があるSwaying マウス小脳について、その基本的な層構築の機構について精査した。小脳の虫部と中脳が癒合し、小脳の各葉間にも癒合が認められた。左右の上丘が前後に位置し、下丘が斜めに外側に突出していた。小脳皮質の各葉のうち最前部の小葉が欠如していた。小葉の組織学的構築では左右の著明な非対称性が観察された。Swaying マウスでは劣性の遺伝子が中脳と小脳虫部の組織形成に発生初期から大きく影響を与えていることが考えられた。 (3)スンクスの中枢神経系の層構築異常を精査した。小脳では第6-7番目の小葉が頭方に突出しているが、それに伴い、この小葉の分子層の幅が著明に減少する事実を観察・報告した。海馬や新皮質においても層構築や細胞の移動に異常が認められた。現在、この動物の発生過程を追究中である。
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[Publications] Masaki Sekiguchi et al.: "Abnormal morphogenesis of midbrain and cerekellum in swaying,a mutation of segment polarity gene,WNT-1" Neuroscience Research. S.19. S125- (1994)
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[Publications] 関口 雅樹.他: "Swaying マウスにおける小脳皮質の層構築の異常について." 解剖学雑誌. 69. 517- (1994)
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[Publications] 郭 煌 他: "スンクス中枢神経系の層構築について." 解剖学雑誌. 69. 546- (1994)