1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680749
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
杉本 哲夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (90144352)
|
Keywords | オピオイド / 受容体 / 遺伝子発現 / コリン性神経細胞 / ラット |
Research Abstract |
μオピオイド受容体(MOR)cDNAを用いてin vitro転写系によるcDNAを合成し、これをプローブとしてラット前脳、中脳組織におけるMOR mRNAの発現を調べた。ジゴキシゲニン標識法を用いることにより、細胞形態の同定が以前のin situハイブリダイゼーション法に比し格段に向上した(cf.研究業績Molec.Brain Res.,24:347-352,1994)。前脳では、本研究で対象とした中隔、海馬、対角帯をはじめ、線条体・前頭皮質に選択的に発現細胞の分布を認めた。間・中脳では、反屈束起始神経細胞(内側手綱核)をはじめ、前脳由来の入力情報を受ける諸核にMORは発現した。MORの発現分布を調べる過程で、MOR発現細胞とコリン性神経細胞との異同を検定したところ、前脳情報を下行性に伝達する間・中脳核のなかにMOR発現陽性のコリン性神経細胞が存在することが判明した。またMOR発現はいずれの部位においても神経細胞に限局した。さらに、特定の脳内部位が損傷されたラットでMOR発現を検討したところ、神経細胞でのMOR発現は、その軸索の活動が正常に機能していなければ、低下することが推定された。このため、神経損傷による変化の解析がすすめやすい系として、脳神経起始細胞をとり上げ、MOR発現系を用いて、神経損傷後の発現変化をつぎに調べた。 脳神経起始細胞のMOR発現を無処置ラットで追求したところ、疑核や迷走神経背側運動核などの、迷走神経起始核で高度のMOR発現を認めた。ついで、片側性に迷走神経切断ないし結紮による神経損傷を加え、経時的に発現変化をみた。いずれの損傷によっても、損傷後1〜2日目に起始核でのMOR発現は著減し、約1か月間、MOR発現は枯渇状態にあった。この際、神経縫合などの損傷修復操作を早期に加えると、MOR発現は回復に向かった。 以上の結果から、運動機能の発現機作におけるオピオイド受容機構の役割が今後の解明課題と考えられる。
|
-
[Publications] Kazuhiko Fukuda: "cDNA cloning and regional distribution of a novel member of the opioid receptor family." FEBS Lett.343. 42-46 (1994)
-
[Publications] Takeshi Houtani: "μOpioid receptor:expression and vagotomy-induced depletion of the mRNA in medullary preganglionic neurons." Molec.Brain Res.24. 347-352 (1994)
-
[Publications] Kazuichi Sakamoto: "Expression of mRNA encoding the prostaglandin F2α receptor in the bovine corpora lutea throughout the oestrous cycle and pregnancy." J.Reprod. Fertil.(in press). (1995)
-
[Publications] Yoko Tsukahara: "A subpopulation of large ganglion neurons express IsK protein mRNA:an in situ hybridization analysis in the rat eye." Molec.Brain Res.(in press). (1995)