1995 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン間細胞認識の分子機構における細胞接着因子L1の役割について
Project/Area Number |
06680765
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿相 皓晃 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30104160)
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Keywords | 成長円錐 / 神経細胞接着因子 / 蛋白質のリン酸化 / ホモフィリック結合 / 細胞移動 |
Research Abstract |
神経細胞接着蛋白L1は(1)細胞接着活性(2)神経突起伸長作用(3)神経線維束化形成(4)神経細胞移動(5)細胞内情報伝達機構(Ca^<2+>)(6)ミエリン形成に関与している多機能型のIg・スーパーファミリー接着分子である。200KDa(L1-200)のL1は脳内でプロティオリティックな分解を受け80KDa分子(L1-80)と140KDa分子(L1-140)となるが、L1-80はIgドメインをもたずFN(III)ドメインのみが細胞外に出た形をとっている。今までL1がもつそれぞれの機能とドメインの相関性についてよくわかっていなかったが、今回感作リンパ球を移植する方法でL1-80のドメインを認識するような抗体を得、この抗体を用いて機能解析実験を行ったところこれまでに報告されてない脱神経線維束化促進作用を持つ生理活性がL1-80のFN(III)の第3/4ドメインにあることが明らかとなった。このことは神経系発生過程の初期にL1-200が神経突起伸展・神経線維束化促進として働き、そのあとL1-80が脱線維束化作用として多面的に働くことで脳の形態形成・機能発現に寄与しているものと考えられる。 L1遺伝子の異常により、L1が持ついづれかの機能障害で引き起こされる脳の形態形成不全や機能未発現の解明をめざして、直接的機能ドメインが解明出来るような方法で抗体と抗原を作成し、これを用いてin vitroで機能アッセイを試みた結果、L1-80の第3/4FN(III)ドメインに脱神経束化作用が存在していることが判明し、この部位が神経回路網形成時に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Asou, H.: "CNS Myelinogenesis in vitro: Time course and pattern of rat oligodendrocyte" J. Neurosci. Res.40. 519-534 (1995)
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[Publications] Asou, H.: "Visualization of a single myelination process of an oligodendrocyte" Cell Funct.20. 59-70 (1995)
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[Publications] Asou, H.: "Development of oligodendrocyte and myelination in the central nervous system" The Keio Journal of Medicine. 44. 47-52 (1995)