1996 Fiscal Year Annual Research Report
脳内成長ホルモン依存性二次ホルモンの受容体の決定と発育過程での変化
Project/Area Number |
06680769
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野口 鉄也 東邦大学, 医学部, 教授 (80051366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉崎 哲朗 東邦大学, 医学部, 講師 (30129481)
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Keywords | 脳発育 / 成長ホルモン / Insulin-like-growth factor-1 (IGF-1) / pgマウス / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
Pygmyミュータントマウス(pg)を用いて発育期を追っての血中Insulin-like growth factor-1(IGF-1)値の変化の検索を行った。その結果、正常マウスの血中IGF-1値は10日齢から30日齢にかけて増加し、それ以後ほぼ一定値を示したのに対して、pgマウスでは、10日齢から20日齢にかけての増加が認められず、一過性に減少する時期のあることが明らかとなった。この結果は、同時に測定した肝臓および腎臓の湿重量当たりのIGF-1値も、血中IGF-1値と同様な変化を示したことから、pgマウスではIGF-1産生を促進する成長ホルモンあるいは甲状腺ホルモンに異常のあることが示唆された。そこで、血中甲状腺ホルモンレベルの変化を発育期を追って測定したところ、10日齢と20日齢では正常マウスの70%と有意に減少し、30日齢と40日齢でも低下傾向が認められた。さらに、40日齢のpgマウスの甲状腺を組織学的に観察すると、偏平な濾胞細胞と拡大した濾胞腔が多数認められ、甲状腺の活動が低調であることが組織学的に示された。また、フォルスコリン刺激による甲状腺組織1mg湿重量当たりのサイクリックAMP(cAMP)産生量は、正常マウスと全く差は認められなかった。一方、甲状腺刺激ホルモン(TSH)によるcAMP産生量は、TSH刺激前に比べ1385%の著明な増加が見られたが、正常マウスにおける増加率と比較すると、65%と有意に低値を示していた。したがって、pgマウスでは、TSH受容体(数、アフィニティー、構造そのもの)、甲状腺ペルオキシダーゼ活性、あるいは、サイログロブリン合成に異常がある可能性が示唆さ、その結果、軽度の甲状腺機能低下症状に陥ったものと考えられた。以上、脳の発育異常を示すpgマウスを用いての実験結果から、甲状腺ホルモンが関与する脳発育に対するIGF-1の臨界期が20日齢である可能性が強く示唆された。
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