1994 Fiscal Year Annual Research Report
LHRHニューロンとともに脳内へ移動する嗅板由来細胞に関する研究
Project/Area Number |
06680793
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村上 志津子 順天堂大学, 医学部, 助手 (20255649)
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Keywords | 嗅覚-前脳系 / 細胞移動 / ソマトスタチン / LHRHニューロン / 発生 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
ゴナドトロピン放出ホルモン(LHRH)産生ニューロン以外の嗅板由来細胞の種類を固定するために、発達段階のニワトリ胚の嗅上皮-嗅神経-前脳において行った各種抗体による免疫組織化学染色の結果、ソマトスタチン陽性反応が得られた。ふ卵3日から4日にかけて嗅上皮の嗅細胞とその軸索(嗅神経)および嗅神経中に存在する移動細胞がソマトスタチン陽性反応を示し、発達の進行とともにその数は増加していった。ふ卵6日にはLHRHニューロンの移動経路である前脳内側部にソマトスタチン陽性細胞が出現した。また、ふ卵6日から8日にかけて前脳内側部表層のLHRHニューロンの移動経路上にソマトスタチン陽性線維が伸長していた。これらの陽性反応はふ卵5日から8日にかけて最も強く、ふ卵11日以降減少し、孵化時にはほぼ消失するという発達段階における一時的な発現であった。同一切片によるLHRH抗体との蛍光二重染色の結果、嗅上皮、嗅神経および前脳で観察されたソマトスタチン陽性細胞はLHRHニューロンとは異なる細胞集団であった。発達中の嗅覚-前脳系で一時的に発現したソマトスタチン陽性細胞と陽性線維のその発現部位はLHRHニューロンの移動経路に重なる。そしてLHRHニューロンの移動の最も盛んな時期に一致してソマトスタチン陽性反応が強くなっていることから、ソマトスタチンあるいはソマトスタチンを発現している神経要素はLHRHニューロンの移動に対し何らかの役割をはたしている可能性が考えられる。また、前脳よりも嗅覚部での発現が先行するので、ソマトスタチン陽性細胞は嗅上皮から脳内へ移動する嗅板由来細胞のひとつであることが予測される。
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