1994 Fiscal Year Annual Research Report
運動性機能代償に関わる頭頂連合野皮質錐体路細胞の膜特性-IN VIVOおよびIN VITRO系での解析
Project/Area Number |
06680808
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山本 哲朗 三重大学, 医学部, 教授 (00127002)
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Keywords | 細胞内記録 / 細胞内染色 / 大脳皮質 / In vitro slice標本 / EPSP / 運動性代償機能 / 視床-皮質投射 |
Research Abstract |
今年度は、当初計画どうり、ネコの運動野・体性感覚野及び頭頂連合野のスライス標本とin vivoでの解析を行った。頭頂連合野のslice標本での解析はまだ不十分だが、運動野及び体性感覚野での記録では、これまで報告の無かった皮質第III層錐体細胞の一部がburst dischargeを示すことが明らかになった。これらの所見と、第V層錐体細胞の発火様式に対するCaイオン置換の影響は、中部生理学会で報告し現在論文を準備中である。In vivoでの解析としては、頭頂連合野と体性感覚野での解析を継続し、これまでの実験結果のデータを補足した。特に非錐体細胞の細胞内染色による形態学的解析と視床核刺激による反応をまとめて、頭頂連合野での解析結果を現在論文を投稿中である。頭頂連合野では、小脳性入力に比較的短潜時で反応する細胞が非錐体細胞に見つかり、視床からの短シナプス性結合を示唆する電気生理学的所見を報告した。この結果は、我々が既に報告した、ネコの頭頂連合野での視床-皮質投射終末の分布に関する形態学的報告(Yamamoto et al.1992)を裏付けるものである。さらに、体性感覚野では、この様な非錐体細胞が豊富に記録でき、先の頭頂連合野での所見を裏付けるデータとなった。こちらは、現在形態学的特徴のコンピュータを用いた解析結果と併せて論文を作成中である。 運動野切除後に頭頂連合野が関与すると考えられる運動性代償機構の解析は、運動野切除ネコでの小脳性応答の細胞内記録による解析始めつつある。小脳性誘発電位の代償性変化が必ずしも一定して出現せず、今後例数を増やしつつ、形態学的手法も併用して解析して行く予定である。
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