1994 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロンに対する筋由来栄養因子cDNAのクローニング
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06680821
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
樫原 康博 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00161018)
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Keywords | 運動神経細胞 / 筋 / 栄養因子 / cDNA / mRNA / 発現クローニング法 / アフリカツメガエル卵母細胞 / 鶏胚 |
Research Abstract |
運動神経細胞の生存や機能維持はその支配標的筋との結合に依存する。この現象は、運動神経細胞の生存を促進する標的筋由来栄養因子によって規定されていると仮定されているがその実体は未だ不明である。従って、運動神経細胞の生存機能維持研究のフロンティアはこの因子の同定であることは疑いない。我々は、鶏胚下肢筋よりmRNAを抽出し、これをアフリカツメガエル卵母細胞に注入することで発現する分泌性の翻訳蛋白が、in vivoとinvitroの鶏胚運動神経細胞の生存を促進することを明らかにした。この結果は、運動神経細胞の生存を規定する筋由来の拡散性因子のmRNAが、事実、胎生期の下肢筋で産生されていることを示唆する。次に、このmRNAを蔗糖密度勾配遠心法により得た栄養因子活性分画mRNAからcDNAライブラリーを作成し、このcDNAからcRNAを作成し上記の卵母細胞に注入して得られた翻訳蛋白も上記の運動神経細胞の生存を促進した。この結果は、ライブラリー中に栄養因子cDNAが存在することを意味する。このライブラリーcDNAを先ず、40分画(10000pfu)に分画し、それぞれの分画cDNAよりcRNAを作成した。これを、上記の卵母細胞翻訳系に投与して得られた分泌蛋白が運動神経細胞の生存を促進するかを指標にして活性分画をスクリーニングした。得られた活性分画cDNAをさらに、細分画(3000pfu)して同様の方法で活性分画を求めた。さらに、1000pfu分画し、現在600pfuまで絞り込めた。同様の作業を繰り返すことで単一cDNAが得られることは疑いないと考えられた。
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[Publications] 樫原康博: "発達過程における神経細胞の生死の標的依存性と順向性・逆向性栄養因子" 組織培養. 21. 76-83 (1995)
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[Publications] 樫原康博: "アポトーシス(共著)" 中外医学社, 265 (1994)