1994 Fiscal Year Annual Research Report
実験動物における薬剤耐性菌の出現と意義-病院内感染症のモデル化-
Project/Area Number |
06680837
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前島 一淑 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 耕治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00129470)
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Keywords | 薬剤耐性 / MRSA / 実験動物 / 院内感染モデル |
Research Abstract |
抗生物質との接触歴がほとんどないため,実験動物からの薬剤耐性菌の検出頻度は一般に著しく低いが,抗生物質使用施設由来の実験動物からは高率に薬剤耐性菌が検出され,その多くが伝達性Rプラスミド(しかも複数のcrypticなプラスミド)を保有していることを,すでに私たちは1980年代に明らかにしている。また,実験動物の場合,抗生物質の投与を中止すると薬剤耐性菌が腸管より消失するが,家畜やヒトではこのようなことはなく,薬剤耐性菌で排出し続ける。 これらの過去の研究実績を踏えて,最近話題となっているMRSAの出現機序の解折とヒト院内感染の動物モデルを確立するため,本研究はスタートした。この研究で効率よく進めるためには,抗生物質との接触歴がない実験動物コロニーならびに抗生物質の使用歴がある実験動物コロニーを巧みに利用することが望ましいので,その特定のための全国的な予備調査をまず始めた。 その結果,適当な実験動物コロニーが九州地区に見出されたので,とくに熊本大学の浦野助教授と中村技官の協力を仰ぎ,本研究を進めることにした。現在,九州ならびに関東地区の各種実験動物コロニーから薬剤耐性および感受性の大腸菌,レンサ球菌およびブドウ球菌を収集中である。
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