1994 Fiscal Year Annual Research Report
内部微視的構造に立脚したヒト椎間板の生体内構成法則に関する研究
Project/Area Number |
06680843
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但野 茂 北海道大学, 工学部, 助教授 (50175444)
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Keywords | バイオメカニクス / 整形外科 / 椎間板 / 構成法則 / ひずみエネルギー関数 / 圧縮弾性率分布 |
Research Abstract |
椎間板は、脊椎間の緩衝機能として、体幹からの安定した荷重の支持を保証する支持性、脊髄や神経要素を守る神経保護性、体幹の運動を容易に行うための可動性といった力学的機能を合わせ持つ。中でも、腰椎部椎間板は大きな荷重負担能力を有し、その負荷形態や可動様式が複雑なため、臨床的に見ても力学的要因による障害頻度が高い。椎間板障害に起因する腰痛が今や現代病として社会的問題となっていることを考えると、椎間板の力学的特性を解明することは生体力学的にも整形外科学的にも重要な基礎的研究課題である。力学的に見ると椎間板は、外周部にコラーゲン繊維で補強された異方性弾性の富んだ軟組織が積層された線維輪と、内部にゲル状物質の髄核で構成された柔軟複合積層構造体である。その変形挙動は非線形弾性である。このような構造体の力学的特性を一般表示することは、すなわち数学モデルによる構成法則構築の問題となる。本年度は、有限変形理論を用いて数学モデルによる椎間板一般構成法則の定式化を試みた。まず、正常椎間板と髄核を除去した椎間板の繰返し引張・圧縮負荷試験、繰返しねじり負荷試験から椎間板の力学的特性を確認した。それらの挙動をモデリングするために、Y.C.Fungの提案している一般化ひずみエネルギー関数を用いて、有限変形理論による構成則の定式化を行った。そして、構成則の線形項と非線形項を比較検討することで、髄核の力学的効果を確認した。さらに、椎間板を構成する内部組織の材料特性を検討するため、椎間板の局部的横断面圧縮弾性率の測定法を考案した。すなわち、屍体椎間板から軸方向のスライス標本を作成し、indentation負荷による圧縮変形量を測定した。この値はその位置の弾性率と試験片初期厚さに依存する。この関係を定式化することで局部的な弾性率が算出された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 梅原新司: "変性腰椎椎間板の軸方向弾性率分布" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 15. 117-122 (1994)
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[Publications] S.Tadano: "Structural Effect on Cyclic Loading Response of Human Lumbar Spine" Proceedings of 1994 SEM Spring Conference. 1. 56-61 (1994)
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[Publications] S.Umehara: "Distribution of Axial Compressive Elastic Modulus in Degenerated Interestebral Discs" Clinical Biomechanics and Related Research. 314-325 (1995)