1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管内皮細胞播種型人工血管を目的とするin vitro研究
Project/Area Number |
06680853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 弘子 京都大学, 工学部, 助手 (00093245)
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Keywords | ヒト血管内皮細胞 / 人工血管 / 高分子材料 / 抗血栓性 / ガス滅菌 / 細胞毒性 / 蛍光合成基質 / 血栓溶解系酵素 |
Research Abstract |
長期植え込み用ヒト血管内皮細胞播種型人工血管の開発を目的とする基礎的研究において,ヒト血管内皮細胞と人工材料との親和性を検討した. 1.先ず,長期間の細胞培養に耐えられるように,種々高分子材料をエチレン.オキサイドによるガス滅菌について検討した.プラスチック容器あるいは高分子材料を塗布したガラス容器はこのガス滅菌法では不十分な場合もみられたが,少なくとも4日間培養に耐える試料で実験を行うことにした.それらについて,放射性同位元素標識化合物を利用して細胞による取り込みを調べた結果,残存エチレン.オキサイドによる細胞毒性は無視できると考えた. 2.上記で得た滅菌済み高分子材料に播種した,ヒト血管内皮細胞の増殖および細胞機能,特に,血栓溶解能を持つ酵素である組織型プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)について調べた. 酵素による蛍光合成基質の加水分解反応を,微量測定可能な日立蛍光分光光度計F-2000型(本研究により交付)を利用して検討した.tPAはヒト血管内皮細胞培養上清成分に遊離しているはずであるが,活性値は低かった.しかし,大量のヒト血管内皮細胞から得た細胞内成分についてはtPA活性を検出できた.一方,抗ヒトtPA特異抗体との結合が見られたので,上記細胞内成分にはtPAが含まれていると考えられる.培養上清でも抗tPA抗体との反応は見られ,低活性の理由について,今後検討する.さらに,ヒト血管内皮細胞による線溶系タンパク質を高発現可能な高分子材料および細胞外マトリックスを見い出し,ヒト血管内皮細胞播種型人工血管用材料に関する知見を得る.
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