1994 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語処理システム,CORESによる文脈に適合した推論と予測の認知科学的検討
Project/Area Number |
06710051
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 りか 静岡理工科大学, 理工学部, 助手 (00239253)
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Keywords | 自然言語処理 / 認知科学的アプローチ / 代名詞 / 省略語 / 予測 / プライミング実験 / シミュレーション |
Research Abstract |
1.CORESの自然言語処理システムへの拡張 (1)概念間の意味的関係を類似関係ノード,統語的関係を時間関係ノードとして表現し,関係自体にも属性や次に述べる活性度を持たせた.(2)人間に記憶容量があることを模してCORESの探索の範囲を限定するために,概念及び上記2種の関係ノードの活性度が,処理されるごとに,一定範囲内だけ,かつ,近傍ほど高くなるよう設定した. 2.代名詞・省略語・予測処理の実現 (1)代名詞 曖昧代名詞を材料としたプライミング実験によって,代名詞の直後には語彙情報と近接性に基づいて一旦すべての候補が活性化され,文尾の動詞の後で正しい指示語だけが活性化されることが明らかとなった.そこでCORESに,まず語彙属性を結ぶ類似関係ノードと,時間的関係ノードの活性度によって,指示語の候補を上げ,動詞の後に動詞からの類似関係ノードをもとに候補を絞り込むという早期意味解析を行わせたところ,シミュレーションと実験結果はよく一致した.(2)省略語 再認実験によって,まず統語的欠落によって省略部分が同定され,次にその部分に意味的に適切でかつ活性度の高い概念が補われることが明らかとなった.そこでCORESに,時間関係ノード,類似関係ノードと概念活性度を順次用いて概念を補完させたところ,実験結果を再現することができた.(3)予測 プライミング実験によって助詞と先行概念の意味(文脈)が予測の促進要因となっていることが明らかとなった.そこで,助詞を介した時間関係ノードの活性度と類似関係ノードを伝播する概念活性度が総合的に最も高い概念をCORESに予測させた結果,実験結果を再現できた. 以上,こうした認知科学的アプローチによって,これらの課題の人間の処理プロセスを明らかにできたと同時に,CORESを人間に極めて近い方法でこれらを解決することができる自然言語処理システムに発展させることができた.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 水野りか: "人間の学習モデル,CORESによる代名詞と省略語の処理" 人工知能学会誌. 9. 436-446 (1994)
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[Publications] 水野りか: "CORESによるカテゴリー学習における文脈の影響の実現" 日本認知科学会テクニカルレポート. 23. 1-10 (1994)
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[Publications] 水野りか: "関係情報の潜在的活性化仮説-省略語推論のシミュレーションによる検証-" 日本教育心理学会第36回総会発表論文集. 434 (1994)
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[Publications] 水野りか: "CORESによる予測情報処理" 日本心理学会第58回大会発表論文集. 887 (1994)
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[Publications] 水野りか: "プライミングにおける関係リンクの活性度の影響" 静岡理工科大学研究紀要. 3(印刷中). (1994)
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[Publications] 水野りか: "CORESによる自然言語処理における予測-文脈と助詞の影響の実現-" 人工知能学会誌. 10(掲載決定). (1995)
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[Publications] 水野りか: "発達と学習の心理学,第II部第8章 学びとりのメカニズム" 神谷育司・杉江修治・富安玲子(編)協同出版, 364 (1994)
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[Publications] 水野りか: "心の世界-現代を生きる心理学-,第2部13章 人間とコンピュータ" 生越達美・二宮克美(編)ナカニシヤ出版, 170 (1995)