1994 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域における家族内世代間分業の変化に関する研究
Project/Area Number |
06710109
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
竹村 祥子 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (20203929)
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Keywords | 農村家族 / 世代間分業 / 育児 |
Research Abstract |
本研究の目的は、農村家族における女性の世帯内での世代間分業が、農村の近代化にともなって、パターンの変化を起こしていることに着目し、産業化・都市化に対する農村家族の適応過程を、実証的に解明することにある。 そこで本年度は、対象地を、岩手県の中でも第一次産業従事者の比率が高い、浄法寺町太田集落に定め、集落内20歳以上80歳未満を対象者として、面接法で悉皆調査を行った。 調査内容および方法としては、農業と農外就労の割り振り、食事の支度の担当、育児(仕事を再開した時期、出産当時の育児の担当)、結婚した時点での家族構成等の世帯内の状況を把握する質問と、対象者個々人に対する家族観、生活意識、農業意識等をつかむための問いとを質問紙調査で行った。 当調査から明らかになったことは以下の通りである。 太田集落の三世代同居している世帯では、現在の食事の支度・子どもの世話は、一番若い世代が担当することが多くなっている。しかし葛巻調査の結果とは異なって、中間の世代を飛び越えて一番下の世代に担当を譲っている例は少なかった。これは、若い世代が農業に従事している率が高いことと関係があるのかもしれないが、その理由については今後検討していくべき課題となった。 意識調査の結果については、「家族内性別役割分業」への賛成・反対の比率が、男性、女性とも「賛成派」7割強、「反対派」2割強で、全国の比率とあまり変わらないが、3歳未満の子をもっている「母親が働くこと」、「保育園に預けること」については、むしろ都市部(新宿区)の調査よりも肯定的な意見の比率が高くなっていた。加えて「母乳で育てる」ことについての肯定的意見も高く、都市部とは違った意識の傾向があるようだ。今後の課題は、第二次産業の比率の高い東山町の資料等との比較から、浄法寺町調査の結果を検討していくことである。
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