Research Abstract |
当該研究題目に関する青少年を対象とした質問紙による調査を実施した。当初の予定では,初期の喫煙行動の形成に関して影響を与えていると考えられる要因を明らかにすることを主目的にしていたため,初期喫煙段階に近いと思われる高校生を主な対象として調査項目を作成し,調査を実施する予定であったが,依頼した高等学校からは,いずれも喫煙行動そのものをたずねる項目があるため,調査協力は難しいとの回答を得たため,急遽,対象を短期大学,大学の学生を対象としたものに修正し,実施した。このため,調査時期が予定より大幅に遅れざるを得なくなり,対象者は125名と当初予定より少なく,今後の研究に対するプレテスト的な位置づけにならざるを得なかった。 調査項目は大きく分類すると,友人関係変数群(友人の喫煙行動,接触の程度など),家族関係変数群(家族の喫煙行動,家族形態,調査対象者との関係など),喫煙行動変数群(喫煙経験,喫煙の頻度など),喫煙への態度変数群(喫煙行動への評価など),属性変数群(性別,居住形態など)の5変数群から構成されている。 本研究の主目的である,調査対象者本人の喫煙行動と対人関係の変数群との関連としては,友人の喫煙行動,家族の喫煙行動,なかでも特に親の喫煙行動と親の喫煙への態度(許容的であるかどうか)の各変数と本人の喫煙行動との関係が深いことが示され,青少年の喫煙行動の形成に周囲の人間関係が影響を与えていることが明らかになった。また,喫煙行動への評価(よい-悪い,好き-嫌い)やタバコ広告への態度,喫煙抑制策への態度などで喫煙群と非喫煙群とでは,大きな差がみられ,当然ではあるが,喫煙が習慣化した者とそうでない者との間の意識の違いが明らかになった。今後の方向性としては,初期喫煙の形成過程を対人関係だけではなく,集団活動との関係や個別の状況などもみていくことで発展させていきたい。
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