Research Abstract |
本年度の調査の主旨は,調査用紙を用いて在日コリアン女性の好む色彩とメイクアップを尋ねることにあった。調査対象者は在日コリアンの集住地区として知られる大阪市生野区とした。そのため,調査協力を聖公会生野センターに依頼し,調査に対する助言を得たところ,保育所を通しての調査が望ましいとの判断から,調査票の配布,回収に関しては当初の郵送によるものから,保育所で直接行うものへと変更することになった。が,結果として,回収率は上がったのではないかと考える。また,調査時期の予定も金日成主席の急逝により延期せざるを得なくなったため,年度末までずれ込むことになった。 調査は在日コリアンが多いとされている幾つかの保育所の紹介を聖公会生野センターで受けた後,園長あるいは主事の協力を依頼した。その結果,3つの保育園より調査協力の返事を得た(2月以降,さらにもう1つの保育園より協力の返答が得られたが,このケースは4月以降自費で行うこととする)。それにより,3月1日より7日までの間,愛信保育園,天使の園保育園,こひつじ乳児保育園にて集中的に調査を行った。園児を送迎をする保護者である母親を調査対象者とし,在日コリアンのみに限定せず,日本人の女性もその対象に含めた。日本人女性と在日コリアン女性が日常的に触れ合うことによってどのような影響が相互に見られるかを調べるためである。在日コリアン女性(2・3世)の日本への同化傾向のみならず,日本女性がチマ・チョゴリを数着所有しているといった事実により,文化交流という視点からエスニック・アイデンティティをとらえ直してゆくことが可能になるのではないかと思われる。調査票の回収率はそれぞれの保育園で差があるものの,総じて60%を上回るものであった。かなり私生活(国籍問題・所得の問題等)に踏み込んだ内容の調査であったことから,現場で調査拒否を告げられるケースもあったが,直接に調査の趣旨などの説明することが可能であった事を考えると,当初計画の郵送による調査よりも高い回収率であると考えられる。また,一般的に調査票を用いての社会調査としても,決して低い回収率ではないと考える。 あつめた調査票をもとに,電算機を用いて集計し,その結果に分析加えたものは,次年度の関西社会学会において研究発表することを予定している。
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